<U-17W杯:日本6-0ニュージーランド>◇決勝トーナメント1回戦◇6月29日(日本時間30日)◇メキシコ・モンテレイ

 日本がニュージーランドに圧勝し、自国開催だった93年大会の過去最高成績に並ぶ8強進出を決めた。決勝Tでの勝利は史上初。前半20分のMF石毛秀樹(16=清水ユース)の先制点を皮切りに、華麗にボールが動くパスサッカーでゴールを量産した。3日(日本時間4日)の準々決勝では、王国ブラジルとの対戦が決定した。3度の優勝を誇る強豪国との対戦は、若きサムライブルーの未来を占う一戦となりそうだ。

 若きサムライたちが縦横無尽に走り回った。ワンタッチ、ツータッチの細かいパスでゴール前に迫っていく魅力的な攻撃に、客席からは「ハポン(日本)」コールの大歓声が響いた。

 序盤から高い技術と豊富な運動量で相手を上回り、ゴールラッシュが始まった。前半20分、右サイドでMF石毛がボールを奪うと、ドリブルで突破。角度のないところからクロス気味に放ったボールが相手GKの頭上を越え、ゴールネットを揺らした。直後の22分、華麗にパスをつなぐ「セクシーフットボール」で知られる滋賀・野洲高で1年から中核をなすMF望月が仲間を操った。左サイドで起点をつくり、柔らかい絶妙な浮き球パスでDF早川のクロスを導いた。中央に走り込んだ石毛が再び決め、完全に主導権を握った。

 吉武監督率いる代表にはザックジャパンもまねできない特徴がある。センターバック以外の8人は常にポジションチェンジを繰り返す。そのため、各選手が2つ以上の役割を求められている。相手の弱点に合わせて、駒を配置できるため、今大会4試合フル出場はわずか2人。11人のメンバーを変化させることで、チームとしてフレッシュな選手が出場できる利点も生む。

 5点目のFW南野のゴールも、象徴的だった。中央でピンボールのようなパス交換の間に左サイドバックのDF室屋がオーバーラップ。スルーパスを最前線で受けたグラウンダーのクロスは触るだけで得点を生んだ。石毛も「2ゴールを決めることができて本当によかった。相手は自分たちのパスサッカーがはまりやすいシステムだったので、いつも通りにやれればいいと思っていた」と満足そうに話した。

 課題もある。この日はボール保持率60%で26本のシュートを放ったがフィニッシュのミスも多かった。格上ブラジル相手での真価が問われる。それでも無敗での勝ち上がりに吉武監督は「世界大会で成長している手応えはある。ブラジルに弱点はないと思うが、自分たちの力を試してみたい」と対戦を楽しみにした。

 8強進出は、MF中田、DF宮本らを擁した93年の日本開催以来。MF小野、FW高原の「黄金世代」や、MF宇佐美、FW宮市ら「プラチナ世代」でも果たせなかった決勝Tでの勝利で、期待も高まってきた。4強を狙う真剣勝負の舞台でブラジルと戦えることは、未来の日本代表に大きな財産となる。