<アジア杯:日本1(4PK5)1UAE>◇準々決勝◇23日◇シドニー

 起死回生の同点弾だった。後半36分、MF柴崎岳(22=鹿島)はボールを持ちながら冷静に穴を見抜いた。相手DFを背負う本田。パスコースは空いていた。縦パスを入れると同時にダッシュ。「(本田)圭佑さんが、自分が落として欲しいところに落としてくれた。イージーなゴールでした」。ダイレクトで振り抜いた右足ミドルシュートで、ゴール左へ。1点ビハインドで焦りの見え始めた時間帯、日本の息を一時吹き返させた。

 後半9分に、遠藤に代わって出場し日本の攻撃のタクトを振った。ボールを受けて右へ左へ、そして中へ、ピッチ上に視野を張り巡らせた。延長に入り、長友が右太もも裏を負傷すると、右サイドバックにコンバート。同時に日本の攻撃は停滞した。それほど柴崎がゲームをつくっていた。攻撃に絡むことができず、時間だけが過ぎた延長後半13分。ゴールから約20メートルの直接FKの場面では、本田からキッカーを託された。

 「壁が低い場所があったのでGKの位置を見ながら相談というか話をした。ビッグチャンスだったのに残念」。キックは相手にかすりながらわずか右へ。屈辱的な敗戦の中で強烈な印象を残した。「自信になったというより、勝てなかったことが…」。どん底に突き落とされた日本にとって、唯一の光だった。