湘南ベルマーレFWドラガン・ムルジャ(33)が、値千金の決勝点を挙げた。後半37分、左CKを頭で合わせてゴールネットを突き刺した。J1大宮アルディージャから移籍し、7月に追加登録されてから、この日で出場3戦目。チームが後半放った唯一のシュートが、移籍後初ゴールとなった。ゴール後は観客席のサポーターに向かって、声援を欲するように両耳に手を当てるパフォーマンス。試合後は「自分のゴールが勝ち点3につながってよかった」と、満面の笑みで話した。

 6月までは大宮に所属し、リーグ戦は7試合に出場したが無得点だった。セルビア代表として10年W杯にも出場したが、出場機会にもゴールにも恵まれなかった。その中で「昇格の可能性が高く、昇格に貢献したい」と、湘南ベルマーレに移籍。「湘南は自分たちのスタイルがあり、それに慣れるのに時間はかかるけど、少しずつ吸収している」と、振り返った。

 曹貴裁監督は「得点を取ったことよりも、あれだけのキャリアの選手が、下を向かず、フォアザチームで練習から頑張っていることがチームの力になっている。見ている人は、90分間出場して2点ぐらい取る選手がいい選手と思うかもしれないけど、いい選手だからこそベンチに置いておくということもある」と、後半33分から投入したムルジャを評した。事実、前後半を通じてのシュート数は、ジェフユナイテッド千葉の19本に対し、湘南ベルマーレは2本と圧倒的に攻め込まれていた。そんな劣勢を1発で覆す、劇的な移籍後初ゴールだった。