首位鹿島アントラーズが0-0で柏レイソルに引き分け、2年連続9度目の優勝は持ち越しとなった。試合のない29日に、2位川崎フロンターレが浦和レッズに引き分けるか負ければ決まり、J1史上初の“試合なしV”の可能性が再浮上した。8月9日から首位に立ち、一時は2位と勝ち点8差をつけたが、12月2日のジュビロ磐田との最終戦までもつれれば重圧となりそうだ。セレッソ大阪は来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフ(PO)に出場できる3位以内が確定した。

 後半48分23秒。勝てば優勝の状況の中、引き分けを告げるホイッスルが鳴り、鹿島の選手たちはうなだれた。09年以来のチケット完売で3万6080人をのみ込んだスタジアムの歓声もため息に変わった。大岩監督もMF小笠原主将もホーム最終戦セレモニーまでベンチから立ち上がれない。DF昌子は「全員がホームで勝って決めたかったから残念」。国内主要タイトル19冠すべてに関わってきた強化担当の鈴木常務取締役も「大敗した気分」と最高の決定舞台を逃したショックを隠しきれなかった。

 CK13本。シュート23本。後半14分にCKを頭で合わせるも、バーに阻まれた昌子は「どれか1つでも入ってくれればということが届かなかった」。ACLによる変則日程で、鹿島だけ3週間空いた大一番。同22分にドリブルやフェイントでDF3人をかわしたMFレアンドロがゴール前に3人がフリーでいるにもかかわらず、強引にシュートした場面も気迫の空回り。サポーターを前に昌子は「俺が守るとか、俺が点をとるとかじゃなく、このファミリーが勝てばいい。その思いでジュビロに勝ちます」と自戒を込めて約束した。

 2位の川崎Fとの勝ち点差は5。29日に川崎Fが引き分け以下なら優勝は決まるが、チームは磐田との最終戦に勝って決める思いで一致している。ここから川崎Fが連勝し、鹿島が敗れればV逸。昌子は「次はソガさん(GK曽ケ端)が決めても相手が(オウンゴールを)入れてくれてもいい。国内20冠を決めて、やっぱりまた鹿島か~と、とことん嫌われたい」。残り1戦にすべてを懸ける。【鎌田直秀】