ベガルタ仙台は29日、沖縄・糸満市での1次キャンプを打ち上げた。締めくくりとしてサガン鳥栖と練習試合を行い、3-2で勝利を飾った。この試合に左ウイングバック(WB)で先発出場したMF永戸勝也(23)が1ゴール1アシストを決めるなど大活躍。昨年7月、試合中に負傷し、その後のシーズンを棒に振ってしまった期待の2年目レフティーが、完全復活をアピールした。

 逆サイドのMF庄司悦大(26)から放たれたロングボールに、永戸は左足をピタリと合わせた。逆風で押し戻され、受けるのが困難なボールをコントロールすると、得意のドリブルで内に切り込んで、相手マークを引き離した。飛び出した相手GKも冷静にかわし、左足でゴールネットを揺らした。「庄司君とタイミングがうまく合った。相手DFのミスが重なったがゴールを決めることができてよかった」。先制され、0-1のまま劣勢が続いていたが、一気に流れを変えた。

 後半にはMF古林将太(26)のゴールをアシスト。左サイドからマイナス気味のクロスを逆サイドの古林の右足にピンポイントで合わせ、ダイレクトボレーを演出した。「逆サイドのスペースに落とすことを意識した。そこに蹴れるのは僕の特徴。スペースに落としてコバ君がうまく合わせてくれました」と振り返る。

 永戸のアシストは戦術的にも、意味のあるゴールだ。前線のFWジャーメイン良(22)、石原直樹(33)、野津田岳人(23)が、オフザ・ボールの動きで相手マークを引きつけ、空いたスペースを両WBが絡んで決めた。渡辺晋監督(44)は「ゲームのテンポ、スピードはまだまだだが結果が出たのはいいこと。あそこの場面はそこに至る経緯が重要。フリーにするためにシャドーのランニングがあったり、チームプレーの成果」と振り返った。

 ルーキーイヤーの昨季、開幕スタメンに抜てきされ、レギュラーのまま迎えた7月のG大阪戦で、右足外くるぶしの脱臼骨折および内くるぶしの靭帯(じんたい)を損傷。手術を行い、そこでシーズンを終えた。それだけに、今キャンプにかける思いは熱い。チームは今日30日から宮崎・延岡市で2次キャンプに入る。リーグ開幕(2月25日)まで残り1カ月を切り、永戸のアピールは、より加速していく。【下田雄一】