新エースの力を見せる。鹿島アントラーズは3日、ホームで水原(韓国)とのACL準決勝第1戦に臨む。今季公式戦43試合全てに出場し、17得点14アシストを挙げているFW鈴木優磨(22)は、44試合目も先発が確実。1次リーグの敵地で水原と対戦した際には、当時エースだったFW金崎にゴールを“強奪”される一幕があっただけに、次は自らの得点を刻む。

獲物を見つけたその目が輝いた。ベテランであろうと構うことなく。カシマスタジアムでの公式練習の冒頭、ウオーミングアップで行った“鬼ごっこ”。鬼の鈴木はターゲットをMF小笠原に絞ると、誰が目の前にいても迷うことなく追いかけ、捕まえた。その執念の強さに、点取り屋としての気質がうかがえた。

鹿島が初めて戦うACL準決勝の舞台。水原とは1次リーグが同組で2度、対戦した。2-1で競り勝った敵地では、後半14分に放ったヘディングシュートがゴールラインを割ろうとした瞬間、金崎に押し込まれて“アシスト”になった。帰国後「アシストって言わないでください。あれは奪われたんです。強奪です」と笑いながらも訴えたほど。ただ、当時はまだ「エース」の称号は金崎。悔しさをぐっとしまい込んだ。

しかし、今は違う。鈴木はチームでただ1人、今季の超過密日程の公式戦43試合全てに出場する。17得点14アシストと、誰が見ても頼りになる存在になった。「チームが、点が欲しいタイミングで決めるのが、本当の点取り屋。明日も点が取れるように頑張る」。“強奪”されたゴールを、奪い返すときが来た。

相手は当時から監督が代わり、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFサリッチが加入。だが、鹿島にもセルジーニョやチョン・スンヒョンが加わった。「どこで差が出るかというと、戦う部分や最後の精度だと思う。今、厳しい時間帯に防げて点が取れる、強い時の鹿島に戻ってきている。明日も継続できれば勝てる」。エースとは、チームを勝たせられる選手-。鈴木が、その役割を担う。【今村健人】