第97回全国高校サッカー選手権大会が30日、東京・駒沢陸上競技場で開幕し、開会式では東北勢6校も堂々と行進した。今日31日には、5年連続10度目出場の尚志(福島)など4校が1回戦に登場する。

エンジ色のユニホームを着て行進した尚志MF大川健(たける)主将(3年)には、J1鹿島アントラーズMF小笠原満男(39)の魂が宿っていた。茨城・鹿嶋市出身で、小学生から鹿島の下部組織でプレー。27日に突然の引退の報には驚いたが、憧れ続けてきた存在の言葉を再び胸に刻み直した。中1だった鹿島ジュニアユース時代の講演会で壇上に立った小笠原の「勝者のメンタリティー」は忘れられない。

大川 『優勝と準優勝では、大きな差がある。優勝しなければ意味がない。1回戦で負けたのと変わらない』と直接伝えていただいた。鹿島で17冠も達成した人の言葉にも重みがありました。自分たちも優勝することしか考えていませんし、自分も小笠原選手のような存在になりたい。

今季は高円宮杯U-18プリンスリーグ東北を圧倒的な実力差で、3年ぶりに制覇した。62得点12失点は、いずれも最多最少。来季、東西10チームずつで構成される高校生年代最高峰のプレミアリーグ参戦も決定。今月中旬の参入プレーオフでは、JFAアカデミー福島U-18(東海・静岡)、横浜ユース(関東・神奈川)を連続撃破した。大川も「参入戦を勝って勢いもある。全国に行っても勝てるチームを目標にやってきた。1年間通しての守りの取り組みは成果が出ている」と手応えを得ている。

今日31日の1回戦では神村学園(鹿児島)と対戦する。「初戦が大事。相手の攻撃サッカーを封じたい」。過去最高4強を超える日本一しか見えていない。東北、鹿島の象徴・小笠原の背中も追う。【鎌田直秀】