日本航空(山梨)が0-2からの逆転で丸岡(福井)を下し、初の8強進出を果たした。日本航空は前半12分、同28分とセットプレーから立て続けに失点。0-2の苦境に立たされた。

だが、この日のピッチには頼れる男が戻っていた。昨年12月の山梨県リーグの最終節でレッドカードで一発退場になっていた主将のMF塚越誠也(3年)だ。今大会の初戦(香川西戦)は、レッドカードを受けた直後の公式戦だったため出場停止になっていた。チームが初戦で勝利したため、塚越は今大会の“初戦”を無事に迎えることができたのだ。待ちこがれた“初陣”でいきなり2失点しても、塚越は落ち着いていた。「自分たちのペースで来ていたし、絶対に追いつけると思っていた」。2年生が多い最終ラインに「あせるな」「絶対に大丈夫だから」と声を掛け続け、チームの武器であるサイド攻撃を出せるようにピッチ内でタクトを奮った。

前半に同点に追いつくと、勢いは止まらない。後半6分に、コーナーキックからDF小田翔大(2年)が勝ち越し弾。大逆転で学校の歴史を刻む「8強」を果たした。塚越は「昨日、負けていたら、自分の選手権は終わっていた。選手権は、小さいころからのあこがれの舞台。立てて良かった」と仲間に感謝し「勢いと全員守備、全員攻撃が自分たちの特長。それが出せた」と胸を張った。

昨夏の全国高校総体では、身近なライバルの山梨学院高が全国制覇を達成したことも刺激になっていた。塚越は「自分たちも遠くないなと感じられた」と振り返る。仲田和正監督と「今回の選手権では、自分たちがダークホースの存在になろう」とやってきたという。準々決勝はともに初の4強をかけ、瀬戸内(広島)と対戦する。塚越は「うちにはうまい選手はいない。ハードワーク、走力で負けないように戦いたい」と新歴史への意欲を口にした。