帝京長岡(新潟)が12年度以来、6大会ぶりの8強入りを決めた。長崎総合科学大付に2-1で勝った。1-1で迎えた後半38分にMF田中克幸(2年)が勝ち越しゴール。2回戦の旭川実(北海道)に続いて2試合連続得点を決めた。全国選手権ベスト8は県勢最高成績タイ。5日の準々決勝は尚志(福島)と神奈川・等々力陸上競技場で午後2時5分キックオフだ。

MF田中の目の前にボールがこぼれてきた。冷静にトラップして、得意な左足シュートの体勢に持っていく。豪快に振り抜いたボールは右サイドネットに飛び込んだ。1-1の後半38分。DF手塚克司(3年)の浮き球パスをゴール中央のFW晴山岬(2年)が足に触れた。ボールは左ポスト付近にいた田中のもとに流れてきた。「セカンドボールが試合のキーになると意識していた」。まさに、そのセカンドボールを拾って勝ち越しゴールに結び付けた。ゴールの行方を確認すると右腕を突き上げ、ジャンプした。

ロスタイム3分30秒を含め、終了のホイッスルが鳴る5分30秒前に生まれた勝ち越しゴール。古沢徹監督(33)は「またPK戦になるかと思ったところを…。いい時間帯に(点を)取ってくれた」と話した。前日2日の旭川実との2回戦は2-2から大会新記録となるPK17-16の死闘。だれもが、2日連続の死闘を覚悟した時間帯に値千金のゴールが生まれた。「試合が動かなくなったから、PK戦になるかと思った」と田中も、PK戦が頭によぎりながらシュートを決めた。

旭川実戦に続いて大会連続2ゴール。古沢監督が「技術にたけている。(MF)谷内田(哲平)と田中は代えがいない」と話すチームの核だ。岡山県出身で中3の16年夏、帝京長岡が全日本U-18フットサル選手権で優勝した動画を見て自分から入学を希望した。歩き始めてすぐにボールを蹴って遊び、幼稚園児の頃にはパイロンを立てて実家付近でドリブル練習していた技巧派。ショートパスをつないで崩す、同校のスタイルに資質はピタリ合っていた。

あと1勝で県勢初のベスト4入りする。古沢監督は「次の1試合に全身全霊をかける」と言った。田中も、違う言葉で同じ意味の決意を話した。「命をかけるくらいに真剣に戦いたい」。準々決勝の神奈川・等々力陸上競技場のピッチで田中は全力を吐き出す。【涌井幹雄】