全国高校サッカー選手権が第100回を迎える2年後の21年度大会で大幅に刷新されることが29日、分かった。主催する日本サッカー協会と全国高校体育連盟が「選手ファースト」の考えから、出場校の増枠、試合時間の変更と延長戦復活、過密日程の改善に乗り出し、検討している。冬の風物詩として人気の高い全国選手権が、節目の大会でスケールアップしそうだ。

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全国選手権が100回目の大会で大きく規模を拡大する見通しだ。関係者によると、まず参加校数を変更する。現在は各都道府県の予選を勝ち抜いた1校と、2地区に分かれている東京で48チーム。これを最大60チーム程度まで増やすことで調整を行っている。

増枠の案として、クラブユースも含めた高校年代の最高峰「プレミアリーグ」と全国9地域に分かれる「プリンスリーグ」のどちらかに所属する高校には、予選免除で出場権を与えることを検討。この2つのリーグに参加する高校を除き、都道府県予選で優勝した他校がさらに出場権を得る。また、1つの都道府県からプレミアとプリンスに2校以上が所属している場合、予選優勝校を含めると3、4チームに出場権が与えられる状況も想定される。

試合時間も変更する方向だ。準々決勝までは40分ハーフで行われているが、サッカー本来の45分ハーフにし、延長戦も復活させる見通し。過密日程の中で選手への負担も考えて短縮化していたが、全国大会という育成強化の場を最大限に生かすことが目的だ。かわりに休養日を確保するため、試合間隔を必ず中1日以上空ける日程を組む。大会運営に問題がなければ、101回大会以降も継続することを視野に入れている。

根底にあるのは選手ファーストの考えだ。現在も2回戦と3回戦を連日でこなしており、過密日程は長く課題とされてきた。また40分ハーフは全国選手権だけの採用。現場からは「わずか10分かもしれないが、ラスト10分が勝負を分けることも多い」などと、90分間の試合を望む声も少なくなかった。

これらを実現するために、大会スケジュールそのものを拡大する必要がある。開幕日は94年度の第73回大会から12月30日となっているが、28日に前倒しされる見通しだ。日程が拡大されることになれば、各出場校の滞在費といった負担は増えることは避けられない。課題は残るものの、選手ファーストへ待ったなしの改革が前進している。

◆プレミアリーグとプリンスリーグ 日本サッカー協会(JFA)が主管するU-18(18歳以下)世代の全国規模のリーグ戦。Jクラブのユース、高体連の枠を超え、全国の強豪チームが1年間を通して試合を行う。03年に全国を9地域に分けたプリンスリーグが設立された。中でも上位の20チームによるホーム&アウェー方式のプレミアリーグが11年に開始され、国内のU-18年代における最上位の強化の場とされている。同リーグの最多優勝は広島ユースの3回で、今季は青森山田が優勝した。