新型コロナウイルス感染拡大で延期していたJ1が7月4日に再開する。首都圏クラブのチームがまもなくすべて練習を再開。

横浜FCは3日からチーム練習が始まる。ミーティングが「対面」から「IT」へと変化するなど「3密」を避ける徹底した感染防止予防対策を講じ「新様式」へと変化する。下平隆宏監督(48)にオンラインで話を聞いた。

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横浜FCで日常だった練習前のミーティングが、新様式となる。部屋に全選手が集まる形は見送られ、映像共有ソフトを活用し、監督からの戦術の講義、コーチからプレー映像を配信する形となる。下平監督は活動休止期間中も、定期的に戦術を説明する映像を制作し、全選手に送って戦術浸透を図ってきた。

指揮官は「選手の反応が見られないのが少し心配ですが」としながらも「休止期間中も映像を使ってできていたのでこの形でやっていければ。前日に映像を送って、翌日のトレーニングの狙いを話す形になるのかな」と“予習形式”になることを示唆した。練習時間もアカデミーとの接触を避けるため、両者が重ならないように設定。ロッカールームも新たな待機場所を設け、シャワーの使用も時間割にするなど工夫が施される。指揮官は「強化部がしっかりしてくれている」と感染防止の環境が整ったことへ感謝を口にした。

選手のコンディション維持にも気を配ってきた。休止期間中、スタッフが週に1回、各選手に連絡を取り状況把握に努め、コーチが映像での調整メニューを連日、渡してきた。強度を上げたボールを使ったトレーニングも含まれ、指揮官は「コンディションはいいはず」と期待を寄せる。再開後の1週間は2グループに分かれ、パス&コントロール、ボール回しの練習になるという。「人数が少ない分、しっかり目が行き届いて指導できる」と前向きに考えている。接触プレーは段階を踏んで取り組んでいく。<1>「ボール回しなど、一瞬の接触」<2>「攻守切り替えなど、瞬間的な接触の連続」<3>「セットプレーなど長い接触」と3段階を考えている。指揮官は「やはり選手も怖さがあると思う。選手の心のケアをしながら段階を踏んでいきたい」と話した。

リーグ再開は7月4日。過密日程が予想され、交代枠も5人となり「ターンオーバーも考えなくてはいけない。選手全員に出場機会の可能性がある」と総力戦を思い描く。今季は特例で降格がないが、今季初めに設定した「トップ10」の目標に揺るぎはない。再開まで1カ月あまり。指揮官は「時間はあると思っている。ゲーム感覚を戻していければ」と、サッカーのある“新しい日常”を心待ちにしている。【岩田千代巳】

<横浜FCの主な予防対策>

◆ロッカールーム運用 使用する選手の数を減らし、新たに待機場所を開放。荷物置き場、待機場所は3カ所で、選手ごとに固定する。

◆入浴 シャワー室にナンバリングをし、使用者の時間と場所を固定する。必ず手洗いをしてからシャワーを浴びる。使用後は消毒。選手利用時間中は、スタッフ1人が滞在し手洗いと場所を徹底。

◆室内ジム 指定した時間のみ使用可能、使用後は消毒。休憩の間も距離を取る。

◆マッサージなどの治療 人数を制限する。体育館もケアルームとして利用。体育館は4人まで、ケアルームは2人まで。トレーナーはマスクを着用し、ケアする選手を固定する。

◆練習時の水分補給 選手それぞれにスクイズボトルを用意。キャップに背番号をラベリング。使用後は消毒。選手個々がボトルを管理。

◆クラブハウス、スパイクルームなどの出入り 選手もマスク着用。選手のウエアは1人ずつかごで管理する。

◆検温 練習前に選手、スタッフ全員に実施。