横浜FCのFWカズ(三浦知良、53)が13日のホーム名古屋戦でベンチ入りする。12日、下平隆宏監督が明かした。13年ぶりにJ1に昇格した今季、カズがリーグ戦でベンチ入りするのは初めて。53歳6カ月18日で出場すれば、J1最年長記録を大幅に更新する、プロ1部リーグ出場でギネス級の記録となる。得点すれば、ジーコ(鹿島)の持つ41歳3カ月12日のJ1最年長記録を大幅に更新しての「ひとりカズダンス」実現が確実。いずれにしても、サッカー界に新たな歴史が刻まれる1日となる。

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カズが07年12月1日の浦和戦以来、J1のピッチに戻ってくる。横浜FCは守備陣にけが人が続出する厳しい台所事情もあり、3連敗中。決定機を決めきれず、惜敗が続いている。前節までリーグ最少失点(12)を誇る堅守の名古屋戦へ、下平監督は「チームが苦しい状況だからこそ、カズさんの力が必要」とコメント。経験豊富な53歳のベテランに期待を寄せた。

カズは今季、8月5日のルヴァン杯鳥栖戦、同12日の同杯札幌戦で主将マークを巻き先発出場。2戦合計118分プレー。鳥栖戦では鋭いヘディングでの枠内シュートを放ち、札幌戦ではスルーパスに抜け出し好機をつくった。下平監督は攻守にわたるプレーを高く評価。「ルヴァンに限らずリーグでも十分、力になってくれる」と信頼を寄せる。

さらに、カズのベンチでの立ち居振る舞い、統率力も評価。「メンバーにいるだけでチームの一体感、まとまり、(そのために)出すパワーは、明らかに僕が見ていても違う」と精神的支柱としての役割にも、期待を寄せている。ルヴァン杯をリーグ戦出場につなげる意欲を見せていたカズにとって、待望のJ1でのベンチ入りだ。今季は交代枠は2増の5人で、ベンチスタートでも出場の可能性は十分ある。

今年3月に、エジプトで75歳のFWが3部リーグの公式戦に出場し、PKで得点し話題になった。ただ、今季のカズは1部リーグ。元イングランド代表FWマシューズがストーク在籍時に50歳5日で1部の試合に出場した例はあるが、53歳6カ月18日となるとギネス級の記録になるのは間違いない。サポーターも日本中のファンも、ソーシャルディスタンスを保ったままゴールを祝う「ひとりカズダンス」の瞬間を待っている。

<今季のカズ、ここまで>

▽19年12月 グアムで1次自主トレーニング。

▽20年1月 グアムで2次自主トレーニング。終盤に左臀部(でんぶ)の痛みを発症。和歌山でのチームの1次キャンプは別メニュー調整。

▽同2月4日 宮崎でのチームの2次キャンプでJ2栃木との練習試合(35分×4本)に出場。4本目で主将マークを巻きプレー。

▽同2月7日 宮崎キャンプ中に左臀部の痛みがぶり返したのか、離脱。

▽同2月14日 Jリーグのキックオフカンファレンスに神戸MFイニエスタと出席。15日に部分合流することを明かす。

▽同2月23日 神戸の開幕試合はベンチ外。

▽同2月25日 53歳の誕生日の26日のルヴァン杯鳥栖戦にメンバー入り予定も、新型コロナウイルスの感染拡大で中止に。

▽同6月3日 チームの全体練習再開。取材に「ひとりカズダンス」を誓う。

▽同8月 ルヴァン杯鳥栖戦、札幌戦に先発出場。