大会屈指のタレント軍団・昌平(埼玉)は、優勝候補の一角にも挙げられている。須藤直輝(3年)と小川優介の両MFは、名門鹿島入りが内定している。FW小見洋太(3年)はJ2の新潟に、MF柴圭汰(3年)はJ3福島入りが内定。そんな強豪校を支えていたのは、世界を知るトレーナーだった。

「日本一のサポートをしてください」。藤島崇之監督(40)は、今年5月に就任した神田泰裕フィジカルコーチ(32)に伝えた。神田氏は、元日本代表MF香川真司(31)のパーソナルトレーナー。中学時代は、同学年の香川とFCみやぎバルセロナでプレーした。

「けが人が多いと聞いていた。ドリブルを主体とする攻撃的なチーム。体幹の安定性、股関節周り、腰周りに問題を抱えていた」

課題克服がスタート。コロナ禍でビデオ会議アプリの「Zoom(ズーム)」などを活用。20~30人程度を対象に、週2、3回開催。四つんばいの姿勢から背中の感覚、骨盤の連動性を確認。腸腰筋のストレッチなど…。基本の体づくりを徹底させながら「プレー時に、この場面でこの筋肉を使うということを意識させる」。メニューを動画編集したYouTubeのリンク先まで送り、個人の復習時間にあてさせた。

対面ではない中、「高水準」を伝え続けた。「『香川選手は、同じメニューをウオーミングアップでやっているよ』とか。自分の体の探求心を高めてあげる」とやる気スイッチをキープ。2カ月のオンラインレッスンを経て、藤島監督は「数値は分からないが、明らかに選手の動きが速くなった」とうなずく。タレント+神田氏。初の日本一への準備は出来ている。【栗田尚樹】

◆昌平 1979年(昭54)開校の私立校。共学で所在地は埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851。10年には付属中も開校。サッカー部は14年に選手権初出場。今大会は2大会連続4度目出場。広島から今季J2の福岡に移籍していた日本代表招集歴のあるMF松本泰志はOB。昨年度の第98回大会ではベスト8。ラグビー部も強豪で、開催中の第100回全国高校大会(花園)に出場している

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