第99回全国高校サッカー選手権は5日に4強が出そろった。新型コロナウイルス禍で実戦機会が少なかった影響からか、試合分析をする関係者からは例年より各校の連係や戦術の完成度が低いとの指摘が出ている。一方で、CKやFKと同様にゴールを狙えるロングスローを武器に勝ち上がるチームが目立っている。
高校年代で最高峰の高円宮杯U-18プレミアリーグに所属する青森山田は昨年、コロナ禍の影響で東北限定のリーグに参戦した。関東の強豪チームと対戦できず、準決勝に進んだ同選手権は守備の強度が課題に挙がる。DF内田陽介は「例年はプレミアで粘り強い守備を学べるが、今年は守備の時間が短い試合が多かった」と話す。
ロングスローを用いた攻撃は、GKや守備のレベルがプロより劣る高校サッカー界で、これまでも重宝されてきた。正確な技術やあうんの呼吸を必要とする流れの中でのプレーに比べて、体格差や身体能力に頼ってゴールへ直結させやすい面がある。今大会は4強に残った全校がロングスローを試みている。内田のロングスローを起点に5点を奪った青森山田の黒田剛監督は「武器がある以上、苦しい試合で効果がある」と説く。9日の準決勝、11日の決勝でも各校が繰り出す「飛び道具」が1つのポイントになりそうだ。
◆ロングスローといえば かつてテレビ朝日の人気番組「マツコ&有吉怒り新党」(現かりそめ天国)で取り上げられ、一気にお茶の間で有名? になったプレミアリーグ、ストークでプレーし“強肩”ぶりを披露していたMFデラップは「人間発射台」と命名? された。Jリーグではサガン鳥栖やヴィッセル神戸在籍時に火を噴いたセレッソ大阪のMF藤田直之のものが有名で、昨季は同じC大阪の片山瑛一が“ロングスロー王”に。