ベガルタ仙台がついに勝った。柏に1-0で競り勝ち、開幕11戦目で待望の初勝利。さらには518日ぶりのホーム白星をつかんだ。後半23分、FW西村拓真(24)がヘディングで均衡を破ると、その1点を全員で守り抜いた。19年11月30日の大分戦を最後に本拠地ユアスタでは公式戦23戦連続(リーグは20戦)未勝利だったが、その「呪縛」から解き放たれた。

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西村の値千金弾がユアスタに笑顔を咲かせた。0-0の後半23分、直前の同21分に投入されたDF蜂須賀の右クロスに頭から飛び込み先制した。「前半からクロスがこなくてハチさん(蜂須賀)が入り、うまく動き直したら入った」という待望のゴール。「ホッとした」と安堵(あんど)の表情を浮かべながら「なかなかチャンスが少ないし、味方にもっと要求したり、自分のクオリティーを上げていかないと今後は厳しい」とプレーの質にこだわる。

開幕10戦未勝利、ホーム23戦未勝利という2つの十字架を背負ってきた。得点後にはピッチに両膝から滑り込み、雄たけびを上げながら友人に勧められたゴールパフォーマンスで喜んだ。降格圏同士の「裏天王山」、4月17日の横浜FC戦で今季初得点も2-2のドロー。その試合後には「仙台は良くないと思われがちだが、去年より確実にいいと思う。自分たちの中で手応えはある」と話していたとおりに結果につなげた。

逆襲へ強い決意をにじませる。「ホームで勝てない期間が長かったので、これからが楽しみ。みなさんと勝利を分かち合えることが改めて幸せだと感じた」。この日は新型コロナウイルス感染予防対策で入場者制限があったが、チケットは完売。4292人が来場した。「声が出せない中でも拍手で応援してくれて、ピッチの自分たちには気持ちが伝わってきた」と力強い後押しに感謝する。

仙台の降格圏脱出はまだだが、18位に浮上した。5日にルヴァン杯清水戦、9日にリーグ浦和戦と続くが、「ホームで勝てたのは本当に大きい。自分たちを見つめ直しながら勢いを大事にして今後乗っていきたい」。エース西村が量産態勢に入り、杜(もり)の都を勝利で彩る。【山田愛斗】

◆記録メモ 仙台がホームでの連続未勝利を20試合でストップした。ホームでの勝利は19年のホーム最終戦だった11月30日の大分戦(2-0)以来518日ぶり。Jリーグ公式によるJ1のホーム連続試合未勝利記録はこの日の対戦相手だった柏が14~15年に喫した22戦連続(10分け12敗)。仙台の20戦連続(8分け12敗)はワースト2位の不名誉な記録だった。