鹿島アントラーズがガンバ大阪から3得点して快勝した。9月に入り攻撃が停滞していた。ルヴァン杯・名古屋グランパス戦(2戦)と、Jリーグ・アビスパ福岡戦で3試合無得点と振るわず3連敗。引いて守る相手に、サイドを起点にクロスを上げるも中で合わず、相手の脅威となる縦パスも入らず、パス回しも安全地帯のペナルティーエリア外の印象が強かった。攻撃をやり直してははじかれ、逆にカウンターを食らった。単調なクロス攻撃では、相手のブロックを打ち破るのは難しい。それでも、強いときの鹿島は、劣勢の中でもセットプレーから得点を手にしていたが、それもなかった。

だが、今節のG大阪戦は、前の3戦とはまったく違った。中盤のMFピトゥカは果敢に縦パスを通し、FW上田綺世や2列目の選手がゴール前に抜け出し、ペナルティーエリア内にも人数がかかっていた。前半はゴールを割れなかったが、シュート数は鹿島が7本、G大阪が1本。無理に打つシュートではなく、得点のにおいが漂っていた。

後半に入ると、ボール奪取から縦に速い攻撃を仕掛け、上田が先制点。それを機に、MFファン・アラーノ、MF土居聖真が相手の名手・東口の壁を崩した。ファン・アラーノの得点では、右サイドのDF広瀬のクロスに5人がペナルティーエリア内に入り込む迫力のある攻撃だった。アイデアも多彩で、見ているサポーターも躍動感ある攻撃を楽しんだに違いない。

相馬監督は福岡戦の敗戦後「元気、エネルギーがなかった」と総括していた。今節は「思い切りと言いますか、多少ダメでも何度でもチャレンジして、風穴をあけにいこうというエネルギーのある選手のイメージで変更した」と先発を4人変更している。ファン・アラーノは得点、広瀬はアシスト。DF関川も上田の先制点の起点となっており、フレッシュなメンバーが結果を残した形だ。

次節は首位の川崎フロンターレ戦だ。球際の攻防と技術のぶつかり合いになるだろう。G大阪戦のように、全員がゴールへの道筋をイメージし、前へのエネルギーを表現すれば、18年9月のルヴァン杯以来の川崎Fからの白星が見えてくるはずだ。【岩田千代巳】