鹿島アントラーズが9日、1年8カ月ぶりにサポーターを迎えて公開練習を行った。

緊急事態宣言が解除され、ワクチン接種が広がりつつある中で、9日と16日の2日間、ファンクラブの最上級会員に向けて練習見学会を行うことになった。

サポーターを入れての公開練習は、昨年2月以来。入場者はワクチン接種証明書が必要で、提示できない場合はクラブハウスで抗原検査を行った。手指消毒の感染対策が取られ、席も1席あけての着席となった。この日は、約150人のサポーターが駆けつけ、横断幕も掲出されにぎやかな雰囲気になった。

クラブハウスからグラウンドへ出たMF遠藤は、観客席のサポーターを見て「久々だね。これだよこれ。やっとプロでやれるよ」と笑顔でスタッフに語りかけていた。

この日は紅白戦を3本行い、FWエヴェラウド、MF土居が得点を入れると拍手が起こり、MFディエゴ・ピトゥカのプレーには「うまいなあ」とのため息がもれていた。また、負傷離脱中のDF犬飼が別メニューで姿を見せるとサポーターが拍手で迎えた。

サインなどのファンサービスは感染対策の観点から行われなかったが、その代わりに客席の前に全選手が集まり、サポーターが集合写真を撮影できるようにポーズをとるサービスを行った。主将のMF三竿は「クラブハウスにファンの方々がいてくれて、うれしかった。ファンの厳しい目線だったり、いるだけで緊張感、練習の質は高まり、試合と同じ環境でやれる。すごくいい練習ができた。日頃から見られてるというのは一番大きい。プロはファンに見られてなんぼの世界。スタジアムでの結果は、練習の質は比例すると思うので、こういう環境は大切だとあらためて思った。気持ちとしては、毎日来てほしいという思い。自分たちはアントラーズを応援してくれる人たちの思いも背負って、全員で今シーズン残りを戦っていきたい」と話した。

観客席に駆けつけた神栖市の30代男性は「長かった。コロナ禍の前は毎週、来ていましたから。スタジアムで見る姿とはまた別」と話した。また、神栖市の20代の女性も「幼少期からアントラーズのファン。待ちに待った練習公開で楽しみにしていました。やはり、間近で選手を見るのは違いますね」と目を輝かせていた。

今後のサポーターへの公開練習は未定だが、練習場の風景も、日常へ戻る1歩を踏み出した。【岩田千代巳】