初の4強入りを果たした大津(熊本)は関東第一(東京B)のため、そして7日に亡くなった長崎総合科学大付の小嶺忠敏監督のため、全てを背負って決勝戦に臨む。準決勝で対戦予定だった関東第一の選手が新型コロナウイルスに感染したため、7日に出場辞退。8日の試合はなく、不戦勝で決勝に進出した。山城朋大監督(32)は同日、オンラインで会見し、決勝への覚悟を語った。

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7日午後8時、大会側から一報が入った。「関東第一の選手2人が新型コロナに感染したため、出場辞退となりました」。キックオフまであと16時間。大津の礎を築いた平岡和徳総監督(56)は急きょ、選手を集めてミーティングを開いた。チーム内には動揺が広がっていた。

一夜明けても緊張感は解けず、朝の抗原検査では全員が黙って検査結果を見つめた。試合がなくなった。次は自分たちかもしれない-。「ぽっかり穴があいたような。横に並んでみんな座っていても、一言もしゃべれない時間が続きましたね」と山城監督。午前練習前、選手たちの暗い表情を見かねた平岡総監督は、もう1度選手たちに声をかけた。

「ここまで来たら結果うんぬんにこだわるのではなく、今までやってきたことを精いっぱい出し切って、熊本、九州の方、小嶺先生、関東第一さんの思いを背負って戦おう」

7日午前には、長崎総合科学大付の小嶺忠敏監督の訃報が入っていた。かつて国見(長崎)を率いた名将で、同じ九州でしのぎを削ってきた間柄。兄が長崎総合科学大付OBのDF川副泰樹(3年)は、涙ながらに平岡総監督の部屋を訪ねたという。「九州を背負って戦おう」と話していたチームには、ひと晩でもう1つ、背負うものができた。

前例のない事態に、世間ではいろいろな声が飛び交う。いまだにどう受け止めるかは難しいが、決勝はやってくる。山城監督は「僕も平岡先生の言葉で、ある意味開き直れた。『今できることは、関東第一さん含めて、サッカーで勇気を与えることだ』と先生も言われた。今できることを明確にして100%でやっていくぞ、という言葉をかけていくと思う」とチームに向き直った。泣いても笑っても、あと2日。試合ができることに感謝して、準備するだけだ。【杉山理紗】

◆大津のここまでの戦い 1回戦は中部大第一(愛知)に5-0、2回戦は「赤い彗星(すいせい)」の異名を持つ強豪・東福岡に4-0と、ともに大勝。3回戦も佐賀東を3-1で破った。準々決勝は強豪の前橋育英(群馬)を相手に、前半11分に先制すると1点を守り抜いて勝利。攻守両面で力を見せてきた。準決勝は関東第一(東京B)が出場辞退となったため、不戦勝での勝ち上がりとなった。

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