J3アスルクラロ沼津が来年もJリーグで戦うため、1億円の資金集めを始めた。クラブは3日、沼津市内でホームスタジアム照明改修プロジェクトに関する記者会見を開いた。本拠地・県営愛鷹広域公園多目的競技場(沼津市足高)の照明の明るさが基準に達しないため、今季終了後、J3ライセンスを失う危機に陥っているが、今春までに照明改修費用を集めようとしている。

ライセンス維持には、来季開幕までに照明改修が終わることが条件。現在の明るさは500ルクスだが、ナイトゲームを行える1500ルクス以上の照明設備が必要だ。2017年からの専門調査の末、改修費は約1億円と試算。ライセンスを継続申請するには、6月までに照明工事の日程を示す必要がある。仮にできなければ、23年シーズンのライセンスを失う。

改修資金の調達のため、クラブは3つの方策を打ち出した。1つはクラウドファンディング。目標金額は3000万円で、支援金額に応じてグッズなどの返礼品が届く。2つ目は、沼津市企業版ふるさと納税としての寄付。目標額は7000万円で、地方公共団体の地方創生の取り組みに関して、沼津市外に本社を置く企業から寄付を募る。企業側は、決算・財務状況に応じて、寄付金額の3割~最大9割の法人税などの税控除を受けられる仕組みになっている。3つ目は、寄付金を募る口座の開設。今春までに、総額1億円以上の調達を目標としている。

沼津は、17年に静岡県東部地域で初のJクラブとなった。渡辺隆司社長(63)は「Jリーグの灯を県東部地域から消してはならない。皆さまの力を貸していただきたい」と訴えた。【古地真隆】

◆JリーグスタジアムのJ3基準(照明) ピッチ内のいずれの箇所においても照度1500ルクス以上の明るさを保持し、均一であること。今年6月までに、設備を整えるか、23年シーズン開幕までに工事を完了させる具体的な日程を示さなければならない。沼津の本拠地の照明は500ルクスしかなく、これまでにホーム試合の夜間開催はない。JFL所属の15年に初めてJ3ライセンスを交付された際には、照明の条件はなかったが、17年のJ3参入後、23年までの照明改修が条件に加わったという。