引退を発表したヴィッセル神戸の元日本代表DF槙野智章(35)が“毎日W杯”を目標に指導者として再出発する。
26日、神戸の本拠地ノエスタで引退会見しプロジェクターを用いて今後の人生プランを披露。W杯カタール大会で優勝したアルゼンチンの凱旋(がいせん)パレード画像を見せながら「Jリーグでも当たり前の習慣にしたい」と力説した。監督就任の際には「2バック」の超攻撃的システムを採用する考えも明かした。
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しんみりするのは似合わない。自ら「槙野劇場第二章 開幕宣言」とうたった引退会見。プロジェクターを使った人生プランは、槙野が1日がかりで製作したものだった。アルゼンチンの優勝パレード。首都ブエノスアイレスに400万人超が集まったとされる写真を示しながら、ユニホームを脱いだ後も続くサッカー愛を熱弁した。
「W杯で見せた発信力。日本中を巻き込んだものを、Jリーグでも当たり前の習慣にしたい。(劇的勝利した)ドイツ戦までは選手は街を歩いていても気付かれなかった。(サッカーに)夢中になった日常を、この日本で起こしたい」
既にコーチ就任の打診があるというが、まずは監督就任に必要なS級ライセンス取得を目指しつつ海外で勉強をする。日本代表の森保監督、神戸で同僚のMFイニエスタらにも相談。イニエスタからは「もしバルセロナで(研修を)したいならサポートする」と伝えられた。21年夏まで横浜を率いたセルティックのポステコグルー監督の戦術に魅力を感じており、つてをたどってスコットランドで学ぶことも視野に入れる。
ただの監督ではない。サポーターを興奮の渦へと巻き込む高熱量な監督に-。
「1-0で守り抜くのは好きじゃない。だったら4-3が好き。見ている人に喜んでもらえる攻撃的サッカーがいい。2バック(DF2枚)でマンツーマン。そういうのをやりたいです。新しいものを発見し、披露するのが楽しみ」
野球でいうならビッグボスこと日本ハムの新庄剛志監督のような存在か。
「ケンカをしろとは言わないが、感情を出してバトルする選手が出てきて欲しい。普段は味わえない感情が、サッカーにはある」
逆境をバネにして日本代表になり、18年W杯にも出場した。「アンチな人の声が強くなった秘訣(ひけつ)」と言いつつ「ボロボロになるまで、情けない姿になってはならないと思った」と引退理由を漏らした。
今後は「J2でもJ3でもいい」と監督としてサッカー界を盛り上げる。情熱は枯れることはない。【益子浩一】
○…終始笑顔の会見で唯一、槙野が涙をにじませた瞬間があった。広島ユースの1年先輩で広島、浦和でも一緒にプレーしたDF森脇(現J3愛媛)がビデオメッセージで「こんなにも寂しいコメントをすることは今までなかった」と号泣すると、たまらず目頭をおさえた。元日本代表監督の岡田氏から「芸能界で活躍するということで…」との映像が流れると、槙野は「そんなこと言ってないです!」と笑い飛ばした。会見場には神戸FW藤本、浦和DF岩波がかけつけた。
○…槙野の妻で俳優の高梨臨がサプライズで姿を見せた。会見後、ピッチで撮影する際に登場すると「え~っ。何でいるの?」とビックリ。高梨は「内緒で来ました」と笑顔を見せつつ「新しい監督という夢に向かって現役生活を卒業することに、おめでとうという気持ちが大きいです」と語った。2人で記念撮影し、槙野は「2人の露出を抑えていたのに、メディアに出ちゃった」と照れた。



