なでしこリーグ仙台レディースから米女子1部リーグ(NWSL)のヒューストン・ダッシュに移籍が決まっているMF鮫島彩(26)が、岡山湯郷戦で志願のフル出場を果たした。試合は0-1で敗れたが、久々のなでしこジャパン復帰となる3月のアルガルベ杯(ポルトガル)へ状態は上向き。自身3度目の海外挑戦を前に、欧米の強豪相手にオフのトレーニング成果を確認するつもりだ。

 鮫島がチーム唯一となるフル出場で気合を見せた。前日20日は代表のメディカルチェックで不在。「昨日試合をやってないので、その分ですね」と涼しい表情で振り返った。アルガルベ杯後はNWSLの4月開幕に合わせて渡米。5月に女子W杯(来年6月開幕、カナダ)の出場権をかけたアジア杯(ベトナム)があり、米でのシーズンが終了する9月には仙台に復帰する意向を示している。タフな1年へ覚悟はできているとばかりに、90分間、アグレッシブに動き回った。

 なでしこジャパンの佐々木監督も視察した一戦。1本目は左サイドバック、2本目からは左サイドハーフに入った。サイドをえぐってチャンスを演出するだけでなく、自ら中に切れ込み、右足で積極的にミドルシュートも狙った。オフはかねて指導を受ける体幹トレーニングの権威、木場克己氏のもと、八丈島や宮古島で自主トレを敢行。さらにトラップやパスの出し方など、プレーを基礎から見つめ直してきたという。アルガルベ杯に向け「試したいことがたくさんある」と話すように、世界に通用する“個”を目指すからこそ、土台作りに余念がない。

 昨季は右足の故障でシーズンの半分以上を棒に振った。都内の施設でケガのリハビリ中に交流のあった竹内智香がソチ五輪スノーボード女子パラレル大回転で銀メダルを獲得し、刺激も受けた。「まだまだですけど、ひとつひとつ課題をクリアして、コンディションを上げていきたい」。14年はひと味違う鮫島を披露し、ワールドワイドな活躍を狙う。【亀山泰宏】