J1の横浜FCは1日、元日本代表FWカズ(55、三浦知良)のポルトガル2部オリベイレンセへの期限付き移籍が正式決定したと発表した。

代名詞の背番号「11」にちなみ、ポルトガルの午前11時11分(日本時間午後8時11分)に発表された。カズは昨季は、JFLの鈴鹿ポイントゲッターズへ期限付き移籍してプレーした。

過去にも移籍や契約延長の発表などが11月11日の11時11分だったり、1月11日だったりと、徹底して11にこだわってきたキングらしい発表のタイミングとなった。

カズはクラブを通じて「横浜FCに関わる全ての皆さま。このたび、ポルトガル2部リーグのUDオリヴェイレンセへ期限付き移籍することを決めました。スタッフ、チームメートをはじめ皆さまに支えられ、新しいチャレンジができることに感謝申し上げます。新天地でも自分らしく、プレーしている姿を皆さまへ届けられるように努力いたします。横浜FCのJ1での幸運を祈願しております。本当にありがとうございました。Boa Sorte!」とコメント。

ポルトガル語で「幸運を」という意味の大好きな言葉を添えて、感謝の気持ちを示した。

1月25日夜に、羽田空港からポルトガルへ向けて出発。現地時間の同27日にメディカルチェック(身体検査)を受けた。2月26日には、56歳を迎えるサッカー界のキング。プロ38年目のシーズンが間もなくスタートする。

オリベイレンセは、昨年11月に横浜FCを保有するONODERA GROUP(小野寺裕司代表)が経営権を取得した。創立100周年に合わせて横浜FCと連携し、本格的な強化に乗り出そうとしている。今回のカズ獲得は、ペドロ・ミゲル監督の強い希望もあったという。

ポルトガルも欧州の主要リーグとほぼ同じタイミングで、この冬の移籍期間が終了。デッドライン(締め切り)は、現地時間1月31日の午後11時59分59秒だった。カズはここまでに登録を終え、満を持してこの日の発表になったとみられる。

リーグまっただ中で、オリベイレンセは4日にビラフランクエンセとホームで対戦する予定になっている。

ブラジル、イタリアのセリエA、クロアチア、オーストラリアに続く海外では5カ国目の挑戦。1月中に練習参加していた横浜FCの宮崎キャンプを離れた際には「これからも全力を尽くして、どこに行っても自分らしくやれたらいいなと思います」と話していた。

終わりのない旅は続く。

 

◆UDオリベイレンセ 1822年にポルトガルのアベイロ県オリベイラ・デ・アゼメイスをホームに創立。サッカーの他にバスケットボールやローラーホッケーなども有する総合型地域スポーツクラブ。ホームスタジアムはエスタディオ・カルロス・オソーリオ(収容4000人)。1940年代に1部リーグの経験があり、11-12年シーズンにはカップ戦で準決勝に進出している。昨季3部2位で今季2部に復帰した。

 

◆カズの海外でのプレー

▽ブラジル 静岡学園高を1年で中退し、1983年(昭58)1月に15歳で渡航。86年にサントスとプロ契約。同年にはパルメイラスと短期契約し、キリン杯にも出場した。キンゼ・デ・ジャウーなどを経て90年に帰国して読売クラブ(V川崎、東京V)入り。

▽イタリア 94年にアジア人初のセリエAプレーヤーとしてジェノアに移籍。ACミランとのリーグ初戦で負傷したが、復帰後のサンプドリア戦で初ゴール。1シーズンでV川崎に復帰した。

▽クロアチア 98年にクロアチア・ザグレブに移籍。デビュー戦でアシストを決めたがPKを失敗。12試合出場0得点で終わり、99年に京都に移籍。

▽オーストラリア 05年に神戸から横浜FCに移籍。同年に横浜FCからシドニーFCに特別枠選手として移籍。クラブW杯に日本人として初めて出場した。大会後に横浜FC復帰。