同性愛者であることを公表したイングランドEFLリーグ1(3部相当)のブラックプールFWジェーク・ダニエルズ(18)が英BBCのインタビューで、サッカー界における性的マイノリティ「LGBTQ」について語っている。

イングランドのサッカー界で同性愛を公表した選手は1990年にノリッジの黒人選手、ジャスティン・ファシャヌ以来2人目。そのファシャヌはメディアのインタビューでカミングアウトした後、家族から縁を切られたほか、選手仲間からも不当な扱いを受けるなどし、10年ほどして自死している。それだけに昨年、ダニエルズが公表すると、各界から励ましの声が上がるなど大きな反響があった。

今回、そのダニエルズはLGBTQについて語る中で、今夏サウジアラビア1部アルエティファクへ移籍した元イングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンを非難している。ヘンダーソンはリバプール在籍時には、LGBTQ活動を公の場で支援する「同性愛擁護者」として有名だった。

ダニエルズがカミングアウトすると、ヘンダーソンはすぐにSNSのメッセージで連絡を寄こし、信頼関係を築いていた。だが同性愛を認めないイスラム法「シャリム」に則るサウジアラビアへ移籍した途端、連絡は一切届かなくなったとという。「彼がサウジアラビアへ移籍したのを見て、顔を平手打ちされたような気分になった」と話し、悔しさをあらわにしている。

アルエティファクには元リバプールのジェラード監督もいる。ダニエルズは「直接会った時に彼からも連絡が取りたくなったらメッセージをくれ、と言われた」と言う。それだけに同様にサウジアラビアへ行ったことに「裏切られた」という悔しさがあるという。

イスラム社会では同性愛が不道徳なものとされ、当事者の心を苦しめている。そんな中、昨年はカタールでワールドカップ(W杯)が開かれ、それに続くように、2034年にはサウジアラビアでのW杯開催が決定的となっている(※来年のFIFA総会で、30年大会のスペイン、ポルトガル、モロッコ共催とともに決定する運びにある)。

ダニエルズは言う。「もし私がW杯に参加することになれば、私は安心できないし、私のサッカー人生さえも危険にさらされる」。他国で同性愛者を公表した選手が殺害予告を受けるなど、今もサッカー界ではタブー視されているのが現状だ。英国でもダニエルズのカミングアウトが32年ぶり2人目の出来事だということが、それを証明している。

「プレミアリーグのようなトップリーグの選手が同性愛者であることを公表するのを見てみたい。多くのサッカー選手がカミングアウトすることが(社会が)変わるきっかけになる。僕たちは物事を推し進めていく小さなグループを持っている。お手本になりたいし、できる限り”ゲーム“を変えたい」

なお男子に比べ、女子はカミングアウトをするケースが多い。今年の女子W杯に出場した選手のうち、13%が該当している。それについて、ダニエルズは「男子選手の場合、同性愛者であることを公表したら弱く見られるのではないか、と心配しているように思う」と推察する。

社会を変えたいと願う18歳の若者は、ゲームチェンジャーとなれるのか。プレーヤーとして大きな挑戦に向かっている。