<箱根駅伝連載

 戦国駅伝:(5)区間エントリー発表>

 第89回箱根駅伝(来年1月2、3日)の区間エントリーが29日、発表された。選手層の厚さでV最右翼とされる駒大・大八木弘明監督(54)は、宣言通りに往路重視の区間配置。エース窪田忍(3年)を2区、期待の村山謙太(2年)を5区に配した。一方、“3大ブランド”の残る東洋大は設楽悠、早大は大迫のエース級を“様子見”の補欠に回した。

 これぞ“往道”。各校の思惑がオブラートに包まれる区間エントリーで、大八木監督は手の内を堂々と明かした。長距離2種目で駒大歴代最高記録保持者の油布を1区に配置。ロケットスタートで先行し、2区は絶対エースの窪田。そして山登りの5区は「将来のエースとして経験を積ませたい」と前回はルーキーながら2区に起用した村山。補欠に回した撹上、久我も3、4区に当日エントリーのカードとして残す。

 復路を重視してきた従来のVパターンでは勝てなくなって以降、大八木監督は方向転換した。「他に候補はいたけど一番安定していた者(窪田)を2区に置きました。村山はガッツを出して走ってくれれば」と同監督。淡々とした口調は自信の裏返しに聞こえた。山下りのスペシャリスト千葉も「どこでも走れる」とジョーカーとして補欠に。5年ぶり7度目のV奪回-の青写真がストレートに描かれた。

 駒大の熱気を、連覇を目指す東洋大・酒井監督は「往路を取ろうという意気込みが伝わって、特に村山くんの5区にはビックリした」の言葉で表した。自身はダブルエースの一角、設楽悠を「他大学(のエントリー)を見て総合的に判断したい」と模索する。早大・渡辺監督も大迫本人に1区か3区は伝えているが「ちょっと遊び心かな」と他校の出方をうかがい補欠に回した。直球勝負の駒大か、けん制球を入れ探りを入れた東洋、早大か-。3日後の号砲で、最初の答えが出る。

 ◆復路の駒大

 過去6度の総合優勝のうち、4度は往路2位で折り返しながら復路で逆転優勝を飾った。往路優勝は過去3度しかないが、復路は8度も優勝。「復路」の強さが際立っていた。だが、優勝から遠ざかる最近4大会の往路は前回4位が最高順位で、15位と大きく出遅れた年もあった。優勝パターンからの“脱却”も求められている。