箱根路を制するのはどこだ!

 第89回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は明日2日午前8時に往路の号砲が鳴る。今季は当初、層の厚さから東洋大と駒大の2強とみられていたが、10月の出雲駅伝で青学大が初優勝。11月の全日本大学駅伝は駒大が制したが、早大、明大も含めた2強+3強=5強という群雄割拠の様相を呈してきた。「山の神」卒業後の戦国駅伝の行方は果たして。

 ますます高速化する箱根で、前回1、2位の東洋大と駒大の2強は今年も揺るがない。28分台で走れば「エース」と評される1万メートル。学生長距離界の速さの目安で、上位10人の平均タイムが東洋大は28分53秒、駒大はダントツの28分29秒を誇る。スーパーエースの指標となる28分30秒を切る選手も、東洋大は双子の設楽兄弟の2人、駒大は油布、窪田ら5人を数える。経験値+層の厚さは群を抜いている。

 だが、この2強に負けず劣らずの大学が多いのも、今大会の特徴だ。前回3位の明大はスーパーエースこそいないが28分台の選手が7人と、東洋大の5人を上回る。2年前の王者・早大は平均タイムが東洋大と同じ28分53秒。3冠を果たした当時と遜色なく、学生最速27分台を誇る大迫がいる。そして数値こそ他の4校から落ちるが、10月の出雲を初制覇した青学大。勢いをつかめば怖い存在だ。

 過去に東洋大の柏原、順大の今井など、5区の山登りを制した大学が箱根を制するとされてきた。だが、今年はどうだろう。柏原が卒業した東洋大の酒井監督は5区に据えた定方に「区間5、6位が目安」と設定した。駒大の村山、明大の大江、早大の山本、日体大の服部と新しい「山の神」候補はいるが、衝撃の走りは見られるだろうか。天下の険は「10区間の1つ」となるかもしれない。

 その中で各校は例年以上に往路に主力を配置した。これまで復路重視だった駒大は、優勝から遠ざかる最近4年間で出遅れが目立つ1、2区にチーム1、2の走力を誇る2人を置いた。東洋大も前回4区区間賞の田口とエース設楽啓で逃げ切りをもくろむ。早大は大迫を1区か3区で起用が濃厚。明大は1~3区を28分台の選手で固めた。青学大はスーパールーキー久保田を3区に据えた。後は前回2区区間賞のエース出岐をどこに持ってくるか。いずれにしろ、山にたどり着く前が勝負どころになる。

 前回19位から予選会トップで通過した日体大は、3年生主将の服部に刺激を受けて、上位に食い込む力がついた。28大会連続シード権を確保する中大、古豪復活の兆しを見せる順大や出場10年連続10度目の城西大は、力を発揮できればシード権確保は手堅い。ただ、留学生を擁する山梨学院大や日大、2年連続10位の国学院大や予選会組など、こちらも実力は伯仲。今回で一時、参加取りやめとなる関東学連選抜の2区早川(東海大)にも注目だ。