東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で3区の日本人歴代最高タイムを持つスペシャリストが、3年連続で爆発する。宮城・大崎市出身の帝京大・遠藤大地(3年=古川工)は、三たび同区間でエントリーし「区間賞を目標にしたい」と力強く宣言した。

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黒ぶちメガネがトレードマークの遠藤は、前回大会で自身もびっくりの快走劇を演じた。東京国際大のケニア人留学生、イェゴン・ヴィンセント(現2年)が、従来の区間記録1時間1分26秒を大幅に縮める59分25秒で先着したが、遠藤は19年3区3位の実力を示し、1時間1分23秒の区間2位で続いた。

新記録達成時を振り返り「日本人最速タイムを出した実感はなくて、自分の力以上の走りができた大会だと思います。うれしいというより、驚いたのが一番」と本音を打ち明ける。

今年3月11日は東日本大震災から丸10年の節目。宮城出身の遠藤にとって特別な1年になる。「(東洋大の)柏原(竜二)選手が5区を走ったときに『福島の方の苦しんでいる状況を考えたら、1時間ちょっとの苦しみは全然苦しくなかった』という言葉がすごく印象に残っていて、練習中も思い出します。そういった気持ちというか思いを持ってレースに臨みたいです」と希望の走りを誓う。

古川工では土木情報科で学び、卒業後は「土木系の仕事をしようと思ってました」。高校3年間で目立った成績を残せず、「高2のときは大学でやりたくて、高3で諦めて就職するつもりだったが、高校最後の大会で勝ち上がり、インターハイに行けて、いろんな大学から声をかけてもらい、(箱根を)目指せるのかなと思ったのがきっかけで進学を決めました」。帝京大で才能を開花させ、エース格まで成り上がった。3区を知り尽くした遠藤が、初区間賞へレースを積極果敢に支配する。【山田愛斗】

◆遠藤大地(えんどう・だいち)1999年(平11)4月4日生まれ、宮城・大崎市出身。三本木中ではバスケットボール部に所属。古川工から競技を本格開始し帝京大に進学。自己ベストは5000メートル13分55秒97、1万メートル28分34秒88、ハーフマラソン1時間3分53秒。174センチ、58キロ。