仙台育英の「ナナココ」コンビが福島路で主役級の輝きを放ち、宮城を県勢最高タイムの2時間19分32秒で4位入賞に導いた。1区(6キロ)杉森心音(2年)が18分59秒で区間2位、5区(5・0875キロ)米沢奈々香(3年)が16分9秒で区間賞。ともに大学生、社会人との勝負の中で実力を発揮した。仙台育英勢は9区間で6人が出場。東北勢は福島が5位、秋田が12位、青森が14位、岩手が15位、山形が最下位の18位だった。

仙台育英のスーパーエース米沢が「フワちゃん」ばりのインパクトを残した。たすきをもらった時点で2位とは30秒、3位と9秒差の4位。まず、福島をかわし終盤に群馬を抜き去った。「ひたすら前を追う感じで必死でした」。出番直前に静岡・浜松北浜中の後輩、杉森が1区で「19分を切った」という情報が伝えられ、それも力に変えた。順位を2つ押し上げ、1位千葉と15秒差の2位でリレー。5位以内が目標だった宮城の「ゲームチェンジャー」を担った。

16年前に樹立された区間記録16分2秒には7秒及ばなかった。それでも、高校生トップランナーとして大学生、社会人との真剣勝負を制した。「自分は区間新記録を狙っていたので、達成できなかった悔しさもありますが、チームの4位入賞につながる走りができてよかったです」。自身より1学年上で、優勝した群馬のアンカー不破の快走に刺激を受けた。「本当にすごい存在ですし、圧巻の走りで宮城県チームも抜かれてしまったんですが『かっこいいな』と思いました」と声をはずませた。

1区杉森は号砲直後から先頭争いを繰り広げ、積極果敢に挑んだ。「19分ちょうどが目標だったので、それを達成できてうれしかったです」。18分59秒での区間2位に手応えを示しつつ「自分でレースを引っ張ろうと思っていたのに、結構きつくて(途中で)前に出られなかったのは今後の課題です」。中間点の3キロ近くまで食らいついたが、最終的にトップと15秒差をつけられたことを反省した。

12月26日に京都で開催される全国高校駅伝(都大路)で2年ぶりの優勝を狙う仙台育英にとって、今大会は大一番前の最後の駅伝だった。「育英オールスター」6人が4位入賞に貢献も、都大路を走れるのは5人。高校駅伝界の女王に向けて、福島路で選手層の厚さを示した。【山田愛斗】