陸上・新潟アルビレックスランニングクラブ(RC)の今季新加入選手、女子円盤投げ日本記録保持者の郡菜々佳(24)の加入会見が18日、同クラブで行われた。同クラブの日本記録保持者の加入は女子400メートル障害で08年北京、12年ロンドンの五輪2大会に出場した久保倉里美(39=現ヘッドコーチ)以来で、所属の現役選手ではただ1人になる。会見には北京五輪男子5000、1万メートル代表で新スタッフの松宮隆行氏(41)も出席。新潟医療福祉大女子長距離のアシスタントコーチに就任したことを発表した。

少し肩に力が入った。「会見は初めてですので緊張しています」。ただ、そんな雰囲気とは裏腹に、郡は堂々と今後の目標を掲げた。「(24年の)パリ五輪は目指したい1番の場所」。初の五輪初出場をターゲットとして明言した。

今季はアベレージで55メートル台を維持し、ワールドユニバーシティゲームズ(6月・中国)、アジア大会(9月・中国)の国際大会出場を目指す。すでにオープン参加した日本学生陸上個人選手権(15~17日、神奈川)で新潟RC所属選手としてデビューした。今後は兵庫リレーカーニバル(23、24日、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)、静岡国際(5月3日、静岡・エコパスタジアム)など、アジア大会代表選考の対象大会でも新潟RCのユニホーム姿を披露する。

19年に59メートル03の日本記録をマークした。ただ、東京五輪金メダルのバラリー・オールマン(27=米国)の記録は68メートル98と、日本の女子円盤投げは世界から水をあけられている。郡は「世界の舞台で活躍したい。現状を打破する第一人者になりたいという思いがある」と大志を抱く。練習拠点は今まで通りに母校の九州共立大(福岡)に置くが、「同じクラブの仲間がいるのは刺激になる。サポートしていただけるのはうれしい」と新潟RC入りは励みだ。

長距離や短距離とは異なり、女子の投てき種目は企業のバックアップを受けるのは難しいのが実情。そこに新潟RCの大野公彦社長(44)が手を差し伸べた。「日本のトップにいながら次に進めない種目がある。このままでは世界から遠のいたままになってしまう」。クラブトップ方針と郡の思いは一致している。環境は整った。「あとはアルビ所属の選手として結果を出す」。決意を形で見せる1歩を踏み出した。

◆郡菜々佳(こおり・ななか)1997年(平9)5月2日、大阪府出身。東大阪敬愛高では3年生の時にインターハイで女子円盤、砲丸投げの2種目で優勝。九州共立大に進み、16年アジアジュニア陸上女子砲丸投げ優勝、円盤投げ2位。4年生の19年に、九州共立大記録会で女子円盤投げ日本記録の59メートル03をマーク。同年、ドーハ世界陸上女子円盤投げに出場した。172センチ。

○…松宮コーチは新潟RCに在籍しながら、大島めぐみ監督(46)の下で新潟医療福祉大の女子長距離のアシスタントコーチを務める。「今年の全日本大学女子駅伝で目標の20位以内を目指したい」と意欲をみせた。同時に同大大学院で運動生理学やコーチ学を学ぶ。現役時代は北京五輪出場のほか、コニカミノルタの中心選手としてニュー駅伝で活躍するなど輝かしい実績を持つ。「自分の感覚を押しつけるのではなく、大学院で学ぶことと経験を生かして選手と向き合いたい」と抱負を話した。