地元スターのフライング失格に、会場は大ブーイングに包まれた。男子110メートル障害決勝でデボン・アレン(27=米国)が、わずか1000分の1秒差でフライングとなった。スタートのピストルが鳴ってからの反応を示す「リアクションタイム」が0秒099だったためだ。

陸上では人間が音を聞いてから反応するまで、最短で0秒100はかかるという医学的な根拠に基づき、0秒100未満で足が動くとフライングと判定される。米国のツイッターでもアレンの名前がトレンド1位に浮上。オレゴン大時代はアメリカンフットボールのWRとして活躍しているだけに、地元ファンのため息は止まらなかった。

この日は女子100メートル準決勝でも、第1組でアルフレド(セントルシア)、第3組でガイザー(バハマ)が、それぞれ「リアクションタイム」が0・095秒と0・093秒。わずかな差で失格となり、納得のいかない両選手は、感情の行き場もなく天を仰いだ。

近年、陸上界では人間の技術の進化などの観点から、制度の見直しが話題になることが多い。10年からは一発失格となっており、SNS上では「0・095秒の人が反応じゃないって誰が判断できるんだ?」「映像で見たら不自然に見えないけど」「科学的根拠もない判断基準変えた方がいいよ」と疑問視する声も広がった。