先日、『「スポーツ×食」オンラインセミナー~世界で戦うアスリートだけが知っている明日から「食」でもっと強くなる方法~』がTHE ANSWERで行われた。私はMCとして参加したのだが、公認スポーツ栄養士の橋本玲子先生、元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さんをゲストに迎えた。
「健康」というワードは世の中にあふれている。そのための運動はもちろん大事だし、リフレッシュも大事。だけど、この「食事」という毎日の生活に欠かせない要素は、誰しも「自分ごと化」できるものだと感じた。300人近い参加者の数も、興味を物語っている。
このコロナ渦になり、私自身も、家で食事をすることがほとんどだ。毎日の献立に悩んでいたし、その食事へのモチベーションをもらったように思う。
強く印象に残ったのは、廣瀬さんが日本代表時代の食生活だ。「1日6000キロカロリーを摂取していた」という話が衝撃だった。起床後、スムージーとナッツ、プロテインを摂取。朝練が終わってから、朝食もバランスよく食べる。もちろん自分の現役時代も「たくさん食べることが当たり前」で、「そんなに食べるの?」と友人をびっくりさせていたのを思い出した。
ご存知の方も多いと思うが、廣瀬さんが主将を務めた日本代表のヘッドコーチ(HC)は、練習が厳しいことで有名なエディ・ジョーンズ氏だ。個々の選手が毎日の食事や睡眠時間など客観的な情報をアプリに入力するのだが、同時に疲れ方や身体の状態など主観的な情報も記入していたという。この主観的に入力した評価からも、エディHCは選手の性格などを把握していたというから、「緻密で、逃げ場がない!」と私は感じた。
廣瀬さんにその感想をぶつけてみると、「毎日試されている」と言っていた。2015年ワールドカップで強豪南アフリカを破った日本。地元開催の2019年大会でベスト8に入った日本。これらの快挙はトレーニングだけではなく、食事の管理、休養の管理を徹底したからこそ成しえたものだと、あらためて胸を打たれた。
また今回は、橋本先生にSDGs(持続可能な開発目標)の観点からもお話いただいた。SDGsはこの「ハナことば」でも取り上げているが、そもそも2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟国193カ国が2016年から2030年までの目標になる。
SDGsは17の目標から成り立っている。今回は「食」ということで、食品ロスや、日本の食料自給率、お米の消費量が減少していることなどをテーマにした。この中で私は「フードマイレージ(食料の輸送距離)」という言葉に着目した。
日本のカロリーベース食料自給率は、2018年度は約38%だ。この数字の低さは海外と比較するとわかると思うが、カナダは264%、オーストラリアは224%、アメリカ130%、フランス127%(農林水産省試算)となっている。
食料自給率が低いと「フードマイレージ」が高くなる。なぜならこれは、海外から食品を空輸するために排出される二酸化炭素が、地球環境に与える負荷を表すための指標だからだ。なんと日本は世界一となってしまっている。
フードマイレージを減らすためにも、食料自給率を上げなければならないのだが、日本においては食品ロスを減らした方が自給率アップにつながるともいわれている。食品ロスは年間612万トンで、家庭から出ている食品ロスが46%とされる。
この事実に、私たちはどんな行動ができるだろうか。スポーツの現場でもこのSDGsをある程度理解し、この地球のために今からできることがあるはずだ。そして、個人でもやれることはたくさんある。なぜやらなければならないのか。今、1人1人の意識が高まることによって、私たちの住む美しい世界を守っていくことになるだろう。
このイベントは、私にとっても大変多くの気づきをもたらしてくれた時間になった。ありがとうございました。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)



