室伏パワーで世界一を目指す。リオデジャネイロ五輪ラグビー7人制女子代表の桑井亜乃(27=アルカス熊谷)が8日、15人制女子W杯アジア・オセアニア地区予選(9日開幕、香港)の日本代表に選出され、闘志を燃やした。

 日本ラグビー協会が、合宿地の神奈川・厚木市で同予選の日本代表28人を発表。桑井は10位で終わった、リオ五輪での屈辱を晴らすため気合を入れた。「リオ大会は不完全燃焼だった。15人制は慣れないこともあるけど、ラグビーでメダル、世界一という気持ちは変わらない」。

 異色の経歴だ。北海道幕別町出身。4歳の時、姉が出場したマラソン大会を見て「私も出たい」と父健志さんにせがみ、3キロを完走し、周囲を驚かせた。幼少期の夢は「テレビに出演すること」で、母法子さんに相談すると「スポーツを頑張ればテレビに出られるよ」と返答があり、陸上に励んだ。

 北海道・帯広農高では円盤投げ国体5位。高校の同級生には、同町出身で陸上短距離3大会連続五輪出場の福島千里の妹がいて、刺激を受けた。中京大では04年アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治氏と練習に励み、室伏氏の父重信氏から指導を受けた。ひざのけがもあり、伸び悩んだが、持ち前のパワーは強みだった。171センチ、67キロの体でベンチプレス85キロを上げた。

 「大学時代に室伏さんの影響もあり、体幹を鍛え上げてパワーはついた。世界的な人から指導を受けて、私も早く『世界で輝ける人』になりたい。これまで陸上の大会で予選突破することは得意としていたいので、W杯予選も強気に攻めて突破したいです」

 7人制ではFWだったが、15人制ではBKを務める。「ほぼ初めて」という慣れない15人制だが「ラグビーというスポーツは変わらない。チームが勝つためにプレーするだけです」と前を向く。

 予選は3チーム総当たり戦で上位2カ国が、来年8月の女子W杯(アイルランド)の出場権を獲得する。4大会ぶりの出場を目指す日本は13日にフィジー、17日に香港と対戦する。