「氷上の哲学者」から、プロフェッサーマチダへ。フィギュアスケート男子で14年世界選手権銀メダルのプロスケーター町田樹氏(28)が、大学教授の夢を掲げた。13日、東京・東伏見のダイドードリンコアイスアリーナで「プリンスアイスワールド」に出演。10月6日をもってプロスケーターを引退する町田氏は「将来は大学教員(教授)になりたい」と、次の目標を語った。

 華麗なる転身だ。14年ソチ五輪5位になって、同年12月の全日本選手権をもって電撃引退。その後は早大大学院生として研究生活を「本業」とするかたわらでプロとして活動してきた。

 現在は博士課程2年目で、今年4月から慶大と法大で非常勤講師として体育の授業で「ダンス講師」も務めている。「本業は大学院生。両立できなければ、いつでもプロスケーターを辞めるという覚悟で取り組んできた。研究一本に絞って頑張るべきだと思った」と説明した。

 一方で「さよならはいいません」とも話した。町田氏の研究対象は「アーティスティックスポーツ」。「研究対象のひとつにフィギュアスケートが入っている。より広い視野で付き合っていきたい。(将来的に)絶対に貢献できる」。

 「3歳からフィギュアスケートを始めて、28歳。アラサーです。僕にとってフィギュアはアイデンティティーそのものだった。かつて町田樹、マイナス、フィギュアスケート、ニアリーイコール、ゼロで、葛藤を感じていた。それだけじゃダメだと思って、早大大学院で必死に勉強した。イコールの先がゼロではなく、その先の数字を大きくしようと努力してきました。その先の数字が大きくなってきている。例え研究者になっても、フィギュアとの付き合いは続けていきたい」と晴れやかな表情。10月6日の「ジャパンオープン」と「カーニバル・オン・アイス」(さいたまスーパーアリーナ)以降について「氷の上(のパフォーマンス)はもうないです」ときっぱりと言った。