柔道の世界選手権(9月、アゼルバイジャン)男子90キロ級代表の長沢憲大(24=パーク24)が10日、“組み手職人”となって初の世界王者になることを誓った。

 都内で行われた世界選手権に向けた取材会に出席。長沢は6月の全日本実業団体対抗大会で右膝半月板を損傷し、現在、完全復活を目指して調整を続けている。約1カ月後に迫る大舞台について「昨年の悔しい気持ちを晴らす舞台。その思いをぶつける。(本番までに)完治するかは分からないけど、(得意の組み手)技術で戦っているところを見てほしい」と猛アピールした。

 昨年の世界選手権は、個人戦90キロ級の派遣が見送られた。長沢は男女混合団体に出場し、金メダルに貢献したが「個人と団体は違う。優勝したけど、すぐに気持ちは消えた」と複雑な心境を打ち明けた。4月の全日本選抜体重別選手権決勝で右肩手術から復帰したベイカー茉秋(23=日本中央競馬会)を下し、世界代表の切符を得た。

 90キロ級の中では小柄な176センチで、海外勢に立ち向かうために学生時代から得意とする組み手を強化した。「接近戦となると外国人選手は強いので、そこではあえて戦わない。自分が有利な状態で有り続けるための組み手で競い勝つ。組み手は絶対、外国人選手に負けない。状態は万全ではないが、このチャンスをものにしたい」。24歳の“組み手職人”が、1年前の悔しさを胸に大舞台に臨む。