卓球の森薗政崇(23=岡山リベッツ)が、最後の1枠で世界選手権(4月=ブダペスト)の出場権を勝ち取った喜びを語った。

5日、都内の日本卓球(ニッタク)本社で「平成31年 春ニッタク展示会」が行われた。12年ロンドンオリンピック(五輪)の銀メダリスト平野早矢香さん(33)が講演会をしている最中、森薗が飛び入り参加。平野さんとラケットについて語り合ったり、ラリーをするなど会場を盛り上げた。2人ともニッタクと契約を結んでいる。

森薗は2日に仙台市内で行われた卓球のジャパントップ12の世界選手権日本代表選手最終選考会を勝ち抜き、残り1枠だった出場権を手にした。大会後はいつもあいさつでニッタクを訪れており、森薗は「ちょうど展示会の時期で、いつもお世話になっている平野さんが講演会をやるなら飛び入りで参加しちゃおうかなと。急きょ来ました」。北岡功社長から花束を渡されると、喜びの言葉を口にした。

森薗 これまでダブルスでは結果を出してきましたが、オリンピックの選考がシングルスということもあって、そちらの結果を見られがちです。いろんなところから「森薗、もっとシングルスを頑張れ」というお声も頂いて、ボクも勝てない時期が続いて苦しみました。そんな時も日本卓球さんの多大なご支援を受けて、あきらめず自分自身の卓球道を全うできました。本当に幸せです。ありがとうございました。

今回の予選会も「不安が大きかった。自分が通れるとは思っていなかった」と振り返る。初戦で平野友樹(協和発酵キリン)を接戦の末に破って波に乗った。この日に共演した平野さんの弟だった。

森薗 初戦の相手が平野さんの弟さんで、これまでは分がよくありませんでした。ここがヤマ場だなと思っていた。そこで競り合って勝てて波に乗れた。これが大きかったかなと思います。

今回の勝利は世界選手権の出場権にとどまらない。20年東京五輪への希望をつないだことになる。

森薗 オリンピックレースの時期ですから、この世界選手権に出るのはかなり重要…マストになっていた。ダメなら夢ついえるとイメージしていたので本当にうれしいです。

苦しかった期間で変化も生まれたという。

森薗 考える癖がつきましたね。何で負けるんだ、何で勝てないんだって考えました。

平野さんからもお祝いとエールの言葉が送られた。

「試合を見ていましたけど、ベンチに誰も入れず1人で戦っていた。選考会は独特の雰囲気がある。特に今回はこれに勝たないと推薦枠もない状況で、かなりのプレッシャーだったと思います。誰もが東京オリンピックを見据えて戦っている緊張感の中、勝てたのは力があるからだし、これからが本当に楽しみ。選手って何をきっかけに変わるか、強くなるか分からない。これまでのダブルスの経験がシングルスにも生きてくると思います。応援したくなる選手です」

苦しんだ末の勝利で、森薗の今後が大きく変わるかもしれない。