【ウィンブルドン=吉松忠弘】錦織を超えた! ジュニア世界9位で16歳の望月慎太郎(Team YUKA)が、4大大会のジュニアで日本男子として史上初のシングルス優勝の快挙を達成した。

同49位のカルロス・ヒメノバレロ(18=スペイン)に6-3、6-2の61分で快勝。日本の男女を通じては69年全仏、ウィンブルドンを連覇した沢松(現姓吉田)和子以来、史上2人目のジュニア4大大会シングルスを制した選手となった。

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歴史に残る最後のショットは、望月が「自信のあるショット」というバックのダウンザライン(ストレート)だった。糸を引くような球が、相手コートに突き刺さる。相手が1歩も動けず、望月は、その場で仁王立ち。何度も両手でガッツポーズだ。

ジュニアとはいえ、日本男子テニスの歴史が、また動いた。過去、日本男子の4大大会ジュニア・シングルス最高成績はベスト4。それを軽々と越え、優勝して見せた。それでも本人はあくまで「快挙と言われても実感はない。1つの大会に優勝できたことが成長」と冷静だ。

大好きなのはネットプレー。この日も果敢にネットに出て、相手のプレッシャーをかけ続けた。「(ネットプレーは)とても楽しい」。回転をかけたサーブで相手を崩し、ネットに出る。そのサーブ&ボレーは、この日も6回試み、6回成功の100%だった。

錦織と同年齢の13歳で、錦織と同様に盛田テニス基金の支援を受け米フロリダにあるIMGアカデミーに渡った。今年の全仏と今大会で、錦織から指名を受けて練習した。芝コートには「ひざを曲げろとアドバイスをもらった。役に立った」と“先輩”を立てた。

歴代のウィンブルドンのジュニア男子シングルス優勝者には、きら星のような名前が並ぶ。ボルグ(スウェーデン)、エドベリ(スウェーデン)。そして望月のあこがれのフェデラー(スイス)。彼らと肩を並べた。しかし「そのスタイルをコピーしようとは思わない。自分だけのプレーをつくりたい」と、慎太郎オリジナルを目指す。

 

◆ウィンブルドンは、WOWOWで7月1日~14日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。