35位に終わった古谷純平(28=三井住友海上)は笑顔だった。「全力は尽くせた。100点満点」。よく通る声ではっきりと、満足そうに言った。東京オリンピック(五輪)代表の選考対象となる16位以内には遠く及ばない。それでも「代表には選ばれると信じている」と話した。

度重なる負傷で今年前半を棒に振った。五輪と同じ計51・5キロのスタンダードディスタンスで世界トップと争うのは今季初だった。その本格的復帰戦で「代表評価基準」をクリアしたことで、笑顔になった。

日本トライアスロン連合(JTU)が昨年末に出した東京五輪代表選考方法と基準は、A4用紙で7枚。最優先の目標は、新種目の混合リレーでのメダル獲得だ。選考は6段階で、5段階目までは今大会を含む3大会が対象。評価基準もリレーのためのスピードを優先し、16位以内の順位とともに(1)スイムでの第1集団(2)バイクでの第1集団など「先行型」を重視する。

「16位という順位には入れなかったけれど、基準は分かっています。すごく読みましたから」と古谷。日本男子の現在の実力で、16位以内は難しい。だからこそ、スイムを11番で終え、バイクも先頭集団で踏ん張ったことに価値がある。JTUの中山俊行五輪対策チームリーダーも「順位はほめられないが、バイクの第1集団でレースをしたことは評価できる」と話した。

18日には混合リレーが行われる。「選手は当日の朝決める」と中山リーダーは話したが、男子は「リレーのために今日は途中棄権した」というニーナ・ケンジとともに古谷が有力。16年リオデジャネイロ五輪は交代要員としてチームに帯同したが、出場の機会はなかった。悔しい思いもしただけに、東京大会にかける思いは強い。「個人戦よりリレーの方が好き。チームのために頑張りたい」。個人五輪ランキング74位の古谷は、世界ランク7位のリレーで東京五輪のメダル獲得を目指す。