女子シンクロ板飛び込みで昨夏の世界選手権代表、榎本遼香(23=栃木DC)宮本葉月(19=近大)組が、東京オリンピック(五輪)に大きく前進した。

決勝で自己ベストの295・80点を出して1位。ワールドカップ(W杯)東京大会(4月21~26日、東京アクアティクスセンター)出場資格を得た。同種目は東京五輪で開催国枠があり、W杯で著しく競技力が見劣りしなければ、代表内定の見通し。世界選手権で予選落ちした悔しさを晴らす舞台に近づいた。

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涙に暮れる宮本を、4歳年上の榎本が抱きしめた。安定した演技を5本そろえ、主要国際大会決勝ラインを14・13点上回る自己記録の295・80点。宮本は「ここまで思うようにいかなくて」と涙。榎本は「ようやく世界選手権の悔しさを返せる舞台に近づいた」。

昨夏世界選手権に初出場。宮本は「板の上で足が震えた」。4本目の失敗が響いて253・50点で14位。決勝進出に3・87点及ばず五輪切符に届かなかった。

今大会を目標に定めて再始動。だが宮本は新しく導入した筋力トレの影響で演技のバランスを崩した。「遼香ちゃんに迷惑ばかりかけて。どうしようと思っても口に出せなかった」。榎本は「葉月ちゃんは全然楽しそうじゃないし、練習でも目が泳いでいた。また同じ失敗を繰り返すかも」。

昨年12月、金沢市内での強化合宿。同部屋の2人は4時間、涙ながらに話し合った。榎本は「もうちょっと私に迷惑をかけていいよ」と語りかけた。宮本は「うれしかった。私のダメなところを直接いってくれる大事なパートナー」と当時を振り返ってまた泣いた。

次はW杯東京大会。宮本は「もうちょっとできる」といえば、榎本も「300点はいける」。東京五輪を念頭にさらなるレベルアップを目指す。【益田一弘】

◆東京五輪への道 五輪出場枠は個人種目2、シンクロ種目1。今大会で世界最終予選を兼ねたW杯東京大会の出場権をとることが第1歩で、個人は上位2人、シンクロは優勝ペアが選出される。W杯において、個人は準決勝進出の18位以内で代表に内定。シンクロは、他種目との兼ね合いはあるが、海外勢と大きな隔たりがなければ内定する。