東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが、新型コロナウイルスに襲われた。日本障がい者スポーツ協会(JPSA)は20日、東京パラリンピックのテストを兼ねたボッチャの国際大会「ジャパンパラ大会」(28日開幕)中止を発表。大会組織委員会は急きょ、運営面のチェックのため無観客でテスト大会として実施することを決めた。感染拡大が続けば、今後のテスト大会や代表選考大会、さらに3月26日からの聖火リレーにも影響が出そうだ。

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JPSAの中止決定が、組織委を直撃した。本番での円滑な運営のために、欠かせないテスト大会。新設の有明体操競技場で車いす選手たちの動線を確認するために、無観客での実施を決めた。日本を含む9カ国・地域の30人以上が参加予定だったが、3日間の期間を短縮して国内の一部選手のみでテストを行う。

感染の猛威も今夏までには収まるという見方もあるが、準備段階への影響は出始めている。3月以降、特に4月にはテスト大会が目白押し。組織委主催以外の大会が中止されれば、そのたびに規模縮小でテストを行う必要がでてくる。

大詰めを迎える選手選考も打撃を受ける。東京マラソンに続いて、20日には名古屋ウィメンズマラソンも一般レースを中止。沿道応援も自粛要請された。4月には競泳や柔道の選考大会が予定されるが、このまま感染が拡大すれば観戦自粛や無観客の可能性も出てくる。「本番と違う環境で、公平な選考ができるのか」という意見もある。

五輪にとって大きな問題は、3月26日に福島県でスタートする聖火リレー。全国を回る火が大会の機運を醸成するが、不特定多数の人が沿道に密集するリスクも小さくない。「多くの人に聖火を見てほしい」というのが本音だろうが、聖火リレー室の岡田輝彦室長は「対応は考えていかなければならない。大きな課題」と慎重に話していた。

この日、3月15日に開催予定だった「パラ駅伝」の中止も発表された。パラリンピックの機運醸成に15年から続いているイベントも感染拡大の影響を受けた。組織委は「安心で安全な東京2020大会開催に向けて、関係機関等と密接に連携していきます」とコメントを出したが、新型コロナウイルスの脅威は足もとまで迫ってきている。