来年の東京五輪で実施されるスケートボードに、意外な「ブーム」が起きている。3月に学校が休校になってから、未成年者を中心に始める人が急増。各ショップの売り上げも伸びた。「五輪は関係なく、新型コロナでの自粛による影響でしょう」と、日本代表の西川隆監督は分析した。

確かにスケートボードは感染症に強い。ステイホームを強いられる中で体を動かそうとしても、チームスポーツは難しい。器具を使ったり、施設が必要なスポーツもできない。スケートボードなら少しのスペースがあれば1人で楽しめる。自粛下では最適だった。

「SNSなどで友だちの滑りを見て、やってみようと思った子も多かったようです」と、ムラサキパーク東京(足立区)の広岡耕一店長。店舗休業中もオンラインでの売り上げは好調だったが、米国や中国からの物流が滞ったことで「欠品や品薄もあった。マスク状態でした」と振り返った。

初心者急増で問題も噴出している。事件や事故が起きているのも確かだ。それでも、愛好者が増えるのは競技にとって追い風。ワールドスケートジャパンや日本スケートボード協会は、初心者への注意喚起とルールの徹底に努めている。

日本を含む「3大国」のうち米国とブラジルは感染状況が深刻。渡航規制が続く中で大会再開のメドは立たないが、東京五輪に向けて関心は高まっている。スケートボードを楽しむ若者たちの熱が、東京五輪のメダル量産を後押しする。【荻島弘一】