東京五輪代表のビックカメラ高崎藤田倭投手(30)が「二刀流」で開幕から存在感を示した。

4番指名選手(DP)で先発出場。日本代表でも上野由岐子投手とダブルエースを担う右腕は、先発マウンドに立ち、5回2安打無失点の好投で、シオノギ製薬打線を沈黙させ、開幕白星に貢献した。4番打者としても、初回に中前打を放ち、2点目のホームを踏んだ。

まずはバットでお膳立てし、自援護をした。初回、2死走者なし。1ボールから内角に来た球を、うまく腕をたたみ、センター前に運んだ。続く、山本優内野手が放ったレフト前への打球は、土と芝の間で大きく跳ねて、左翼手が後逸。その間に一塁からホームへ駆け抜けた。

その裏の守り。DPとは、野球の指名打者(DH)とは異なり、守備もできるソフトボール独特のルール。メンバー表では投手に浜村ゆかりの名前が記されていたが、マウンドに上がったのは藤田だった。

市口侑果内野手の先頭打者弾も含め初回に2点を先制し、手繰り寄せた流れを渡さなかった。オフに質と重さを求めて磨いてきた力のある直球を軸に、凡打の山を築く。4回に1死一、二塁のピンチを招いたが、外野フライ2つでしのいだ。「しっかり自分の仕事ができた。思い切ったピッチングができてよかった」。5回を投げきり、6回から浜村につないだ。

今季、太陽誘電からビックカメラ高崎に移籍し、投打で活躍を見せた。お立ち台では「最高で~す」と笑顔を見せた。昨季は無観客で閑散としていたスタンドは、たくさんの温かい声援にあふれていた。「今日はたくさんの方に球場に来ていただき、たくさんの応援を受けて頑張ることができました。コロナ禍の大変な中、私たちがソフトボールを出来ることに感謝し、プレーでいろんな感動や勇気を与えられるように頑張っていきます」と宣言した。

代表ではビックカメラ高崎のチームメートでもある上野との2枚看板を担う。発言からは自覚がにじむ。

「監督には上野さんだけじゃないと見せるチャンス。分がどれだけの仕事をできるかのか、日本リーグから見せていきたい。監督には上野さんだけじゃないと見せるチャンス。しっかり自分がどれだけの仕事をできるか見せていきたい。また上野さんがいて、藤田がいる。藤田がいて、上野さんがいる。お互い支え合える存在になりたい」

二刀流かつ2枚看板。その担う役割は、チームでも代表でも極めて大きい。