「最短ルート」でなくとも、そこに確固たる決意がにじんだ。

フィギュアスケート女子の吉田陽菜(はな、15=木下アカデミー)が25日、来季もジュニアにとどまる意向を示した。木下アカデミー京都アイスアリーナ(宇治市)で行われたアイスショー「ブルーム・オン・アイス」に出演。パワフルな演技を披露した後に「多分(来季も)ジュニアです」と明かした。

今季、新型コロナウイルスの影響を特に受けたのが「ジュニア」だった。ジュニアグランプリ(GP)シリーズは中止となり、カテゴリー最高峰の舞台である世界ジュニア選手権も行われなかった。

吉田は現時点で15歳。22年北京五輪の年齢制限(21年6月30日時点で満15歳)はクリアしている。実力面でも今季の全日本ジュニア選手権(20年11月)で2位。フリーでは冒頭で大技のトリプルアクセル(3回転半)を成功させるなど、世界の舞台で武器となる高難度ジャンプを持つ。

18年平昌五輪にはシニア1年目の坂本花織(当時17歳、シスメックス)が出場。前年の世界ジュニア選手権で3位に入り、シニア転向につなげた。同選手権で優勝したアリーナ・ザギトワ(ロシア)は、15歳で迎えた18年平昌五輪で一気に金メダルまで駆け上がった。そんな「最短ルート」も視野に入る中、吉田は冷静に来季を見据えている。

「ジュニアGPに出たことがないので、そういうのを経験してから、シニアに上がりたいのが自分の気持ちです。全日本ジュニアから(上位者が推薦で)全日本選手権にも出られるので、五輪シーズンの全日本にも出場して、そういう空気も味わいたいと思います」

4月に愛知・中京大中京高へ進学。練習拠点とする京都で普段はリモートの授業や課題に取り組み、学校へ通うこともあるという。

「高校生になったので、スケートを頑張らないといけないけれど、勉強もできるだけ頑張りたい。学業との両立をするために、勉強も頑張りたいと思います」

文武両道の目標スケーターを問われると、迷うことなく3学年上の元全日本ジュニア王者を挙げた。

「壺井達也選手が(中京大)中京高校から(今春)神戸大学に行った。勉強もスケートもすごく頑張っているので、自分も、進学の方も頑張っていきたいと思います」

15歳は焦らずに、1歩ずつ進んでいく。【松本航】