東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の中村英正メイン・オペレーション・センター(MOC)チーフが28日、大会中の新型コロナウイルス対策を振り返った専門家会議後、都内で会見した。

五輪期間中、ギリシャのアーティスティックスイミング(AS)チームの大半が陽性と判定され、当時、選手村で初の「クラスターと言わざるを得ない」との見方が示されていた件について「少なくとも選手村や会場でクラスターが起きなかったことはファクト(事実)」と明言。当時の見解を撤回した形で、東京大会ではクラスターが起きなかったと結論づけた。

「クラスターだったかどうか当局の明確な見解はない。(来日便の)機内で感染した可能性が高いのではないか、と保健所の方もおっしゃっていた。入国前のことは検証しようがない。空港検査後、選手村や会場でのクラスターはなかったということがファクト」とも強調した。

会議後、資料が公表された大会総括にも「選手村や会場でのクラスターの発生もなく、専門家からも『大会は安全に行われた』『行動管理や検査などの対策がうまく機能した』との評価をいただいた」とのまとめが明記された。

8月の国際オリンピック委員会(IOC)による独立専門家会議でも「感染が一部広がったケースはあるが、陽性は東京に着いてからではなく、空港で捕捉できずに持ち込まれたものと認識している。空港検疫が失敗したのではなく、ウイルスが十分に検査できるところまで増えておらず、その後に検知できるようになったと理解」と説明されており、組織委、IOCともにクラスター発生はなかったとの認識で一致した。