19年世界選手権3位のビンセント・ジョウ(20=米国)が初優勝した。

ショートプログラム(SP)首位で迎えたフリーでほぼノーミスと言える演技を披露。現在、成功例があるジャンプの中で最高難度の4回転ルッツを含む4回転4種5本、計7回のジャンプを全て成功させ、198・13点、合計295・56点で頂点に立った。

決めたジャンプは以下の通り。

<1>4回転ルッツ

<2>4回転フリップ

<3>4回転サルコー

<4>4回転トーループ

<5>4回転サルコー-3回転トーループ

<6>トリプルアクセル(3回転半)-1回転オイラー-3回転サルコー

<7>トリプルアクセル-2回転トーループ

日本の宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が2位、世界選手権3連覇中で自国の英雄であるネーサン・チェン(22=米国)が3位となった。

メダリスト会見では質問が殺到。「この結果は全く予想していなかったけど、自分ができることを準備していた。練習していたことを出せた。毎日、ここに向けてフォーカスしてきた。この後もシーズンは続くけど、さらにハードに練習を積んで、もっと良くしていきたい」

平昌五輪前年の17年世界ジュニア選手権で優勝。シニア1年目となった翌17-18年シーズンは平昌五輪で6位、世界選手権3位と躍進した。世界選手権ではチェン、日本の羽生結弦(ANA)に続いて表彰台に立った有望株で、7年ほど前から日本の浜田美栄コーチの指導も受けており、この日もリンクサイドや得点を待つキス・アンド・クライで隣には満面の笑みの浜田コーチの姿があった。ジョウは演技が終わった後も、スコアが出た後も笑顔でガッツポーズを連発。初優勝の喜びを分かち合った。

将来について「信じられないスキルを持ったスケーターを目指している。2、3年前まで決してトップに立てるとは思っていなかったけど、実際に今ここまで来た。ネーサン・チェンさんに勝てるとは正直、思っていなかったけど、金メダルを取ったんだ。この調子で前進してきたい」

チェンは平昌五輪5位を最後に国際大会10戦無敗だった。尊敬する同じ米国代表チームの絶対王者より高い点を出し、年明け2月の22年北京五輪メダル候補に浮上。男子の今季GPシリーズ開幕戦で新鋭が波乱を巻き起こした。【木下淳】