新型コロナウイルスワクチンの接種免除の要件を満たしていないとして、オーストラリアへの入国を拒否された問題で物議を醸している男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)が11日、今度は入国申請書に虚偽を記載していた可能性があると報じられた。

【ジョコビッチ入国騒動経過】>>

17日に開幕する全豪オープンに出場するため5日にメルボルンの空港に到着したジョコビッチは、接種免除に必要な書類が提出できなかったとして入国ビザが取り消され、移民収容所として使われている市内のホテルに収容されたが、10日に行われた裁判で一転して入国が認められて自由の身となった。

しかし、その後の調査で、オーストラリア到着前の14日間に他国を訪れていないと入国申請書に記していたジョコビッチが、年末から年明けにかけてセルビアからスペインを訪問していたことが判明したと、英テレグラム紙が報じた。

入国に際して全員に課せられる、「入国の14日前に旅行したことがありますか?」との質問に「いいえ」と回答していたといい、うその回答をすることは虚偽申告として重大な違反とみなされ、処罰の対象となる可能性があると伝えている。ジョコビッチは4日に、スペインからドバイ経由でメルボルン入りしていたという。

SNSで昨年12月のクリスマス当日に、セルビアの首都ベオグラードにいるジョコビッチの姿が確認されているが、同31日にはスペインでテニスの練習をする様子を撮影した動画が投稿されており、虚偽の申告をした可能性もあるとみられている。

ジョコビッチはスペイン南部マルベリャに豪邸を所有しており、試合がない時期はそこで過ごすことが多いと同紙は伝えている。この事実が発覚後、ジョコビッチはオーストラリアの国境警察に申請書に記入したのは自分ではなく代理人だと主張しているという。

ワクチン接種免除の特例をめぐっても、ジョコビッチは、昨年12月16日に新型コロナの検査で陽性が確認されたことを免除理由として主張していたが、感染発覚直後にマスクを着用せず複数のイベントや写真撮影に出席していたことが判明して批判を浴びている。

ジョコビッチと家族は、陽性者に14日間の隔離を求めているセルビアの規則に反して公の場に出たことに対する説明を拒否していると同紙は伝えており、トップ選手としての良識を問う声も上がっている。

入国が認められたジョコビッチは、大会出場に向けて2日連続で現地で練習を行ったことが伝えられているが、同国の移民相がビザ再取り消しを検討していることが伝えられており、国外退去を命じられる可能性も残っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)