日本(世界ランク7位)が、予選最終戦で強豪ブラジル(同2位)に敗れた。粘りは見せながらも0-3(23-25、23-25、22-25)で、東京五輪準々決勝に続くストレート負け。ブラジルには6月2日の親善試合では勝ったが、公式戦は93年ワールドリーグを最後に勝利から遠ざかり通算30勝68敗。日本は予選を9勝3敗で終え、上位8カ国(16カ国中)による決勝大会(20日開幕、イタリア・ボローニャ)に初進出する。
スコア
日本 | 0 | 23-25 23-25 22-25 | 3 | ブラジル |
試合後
日本代表フィリップ・ブラン監督 ブラジルの質の高さに、すぐに試合が終わってしまった。ただ、結果は0-3だが、23点まで持ちこたえたセットもある。2セット目はネットインでとられたアンラッキーもあった。ミドルの体格の違いは大きく、彼ら(ブラジル)を止めるのは難しかった。
石川祐希 (ブラジルに)勝つチャンスはいくらでもあった。勝てる、本気で勝ちたい-。そう思えるようになるまで、(日本が)成長したと思う。サーブで崩して、ディフェンスで拾ってという(ブラジルは)日本と似たタイプ。(日本は)サーブで攻められて、ボールキープしたいところで渡して攻撃されているケースが目立った。本気に勝ちにいって負けたからこそ、ファイナルにつながる。
西田有志 (大阪大会)4連勝を目指していたが、1、2点の差という、やっとブラジルを相手にここまで来ることができた。距離は確実に近づいている。自分の肌ではそう感じている。相手の勝負どころの強さは日本にはないものがあるが、決して下を向く必要はない。
高橋藍 世界のトップと戦う力がついてきたと思う。1本、0・1秒の差の駆け引きがあった。ちょっとした気の緩みでスピードや高さに持って行かれてしまう。レベルが上がるにつれて集中力をより高くする必要があると感じました。
第1セット
第1セットから激しい点の取り合いになった。日本最初の得点は主将の石川。序盤に一時は点差をつけられるも山内、石川が真ん中からスパイクを決めて追いすがる。
3-6とリードを許した場面で、関田がセカンドレフェリーと衝突するアクシデント。日本がアピールするも認められなかった。
その後、西田のスパイクや、関田の絶妙トスから石川が決めた。
このセットで石川、西田はサービスエースを披露。ブラジルにリードを許しても、日本は食らいついた。
超満員の大観衆から手拍子が響く。先にセットカウントを迎えたのはブラジル。それでも日本はジワリと点差を縮め23-24とする。
最後はブラジルに決められた。場内アナウンスも「最初のセットから手に汗握る展開」と興奮状態だった。
第2セット
第2セット。0-2とされてから、日本は高橋藍が最初の得点を挙げる。小野寺、西田と続き3-3。
石川が左から真ん中へスパイクを決めて日本はこの試合、初めて4-3とリードする。
ブラジルに勝ち越されても、高橋藍の得点で9-9、大塚のブロックが決まって13-13、西田が右から左へとスパイクをたたき込んで14-14。互いに譲らない展開が続いた。
その後、日本は14-17と3点の差をつけられる。
だが、今の日本はこれ以上、点差を離されない。西田、石川、石川とスパイクが決まり19-19の同点。
大塚のスパイクが決まって22-21と勝ち越し。
目が離せない展開。日本も、ブラジルも、全く譲らない。
23-23。ここからブラジルが連続得点で23-25。
互角以上の戦いを見せながらも、日本は第2セットまで落としてしまった。
第3セット
第3セット最初に得点したのは大塚だ。石川の粘りのレシーブから西田が緩急をつけて2点目を挙げる。
大塚のサービスエースも生まれ、日本は5-4とする。
西田のスパイクの速度は105~108キロに到達。一方でブラジルのスパイクの高さは3・44メートルにも達した。
8-9で迎えた場面。ブラジルの強烈なスパイクが山内の顔面を直撃するアクシデントも。このセット、ブラジルがリードし、日本が追い上げる展開になった。
西田のスパイク、石川のブロックで場内を沸かせたが、ブラジルにリードを広げられた。
後がない日本は18-23から、石川が真ん中からスパイクを決めて19-23。1点を追加した後に、再び石川が左から決めて21-23と粘る。
手拍子が選手の背中を押した。だが、ブラジルが先にマッチポイントで21-24。
まだ諦めない日本は、石川が技ありのプレーでボールを押し込み22-24。最後はブラジルの強烈なスパイクを体勢を崩しながら拾うも、返せず。22-25。
熱戦を繰り広げながら、終わってみれば0-3のストレート負け。しかし、結果以上に内容の濃い試合となった。
大阪大会3勝1敗の日本は、ファイナルラウンドで上位を目指す。
試合前
会場は日本戦がある4試合連続で超満員に膨れ上がった。ウオーミングアップから大きな手拍子が響き、熱気は最高潮。日本は大阪大会4戦全て、正面から見て左側のコートを選択した。
これまで石川主将は「流れがあるので(コートを)変える必要はないと思っています」と明かしていた。
石川は入念にジャンプサーブを確認するなど、因縁のブラジル戦に向け仕上げていった。
ネーションズリーグ大阪大会・日本代表メンバー
◆セッター
関田誠大(28=ジェイテクト)
大宅真樹(27=サントリー)
◆アウトサイドヒッター
石川祐希(26=ミラノ)
高梨健太(25=名古屋)
大塚達宣(21=早大)
高橋藍(20=日体大)
◆オポジット
宮浦健人(23=ジェイテクト)
西田有志(22=ジェイテクト)
◆ミドルブロッカー
山内晶大(28=パナソニック)
高橋健太郎(27=東レ)
小野寺太志(26=JT広島)
村山豪(23=ジェイテクト)
◆リベロ
山本智大(27=堺)
小川智大(26=名古屋)
◆ネーションズリーグ 国際バレーボール連盟が2018年に新設した国際大会。男女16カ国が参加。予選は開催地を変更して3週に分けて行われ、今大会から各国12試合(1週4試合)を戦う。上位8カ国がファイナルラウンド(20日開幕、ボローニャ)に進み、ノックアウト方式のトーナメント戦で優勝を決める。結果が世界ランクに反映されるため、24年パリ五輪出場にも影響する。新型コロナウイルスの影響で20年大会は中止、21年はイタリアで集中開催された。