なでしこ飛行隊が誕生した。日本女子が初めてW杯の表彰台を独占。伊藤有希(28=土屋ホーム)が通算6勝目となる今季初優勝を果たし、2位は自身初の表彰台の丸山希(24=北野建設)、そして2戦連続の3位に高梨沙羅(26=クラレ)が入った。女子のW杯がスタートした11-12年から12シーズン目で、初の快挙達成となった。

   ◇   ◇   ◇

札幌五輪での日の丸飛行隊の活躍に日本中が沸いた72年2月6日。その51年後の1日前に、女子の日の丸飛行隊が躍動した。表彰台の中央に伊藤、向かって左に丸山、右に高梨が立ち、一緒に君が代を聞いた。高梨は歴代最多の通算115度目の表彰台で「日本チームが表彰台を独占したことが一番喜ばしい」と、格別の喜びを感じていた。

1回目137メートルで首位に立った伊藤の2回目。高梨と丸山が見守る中で135・5メートルを飛んで逃げ切り、3人で抱き合って喜んだ。17年3月以来、6季ぶり通算6勝目。「長かった。ここに戻って来られてうれしい」と振り返り、「歴史的1日になった」と笑みがはじけた。3人とも、降雪の難しい条件下で、K点130メートル越えを2回ともそろえる安定感を披露。向かい風を味方につけ、距離を伸ばした。

前日4日に高梨が12季連続となる今季初の表彰台の3位。会場となったジャンプ台との相性も良く、復調を感じさせていた。女子のW杯初年度から高梨とともに世界で戦い続ける伊藤も、北京五輪前の21年10月に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂して今季復活を果たした18年W杯デビューの丸山も、その勢いに乗った。高梨が「日本チーム全体の調子がすごく上がってきている。誰が表彰台に立ってもおかしくない状況」と話していた通りの結果を呼んだ。

これまでの自己最高は4位だった丸山は「すごい先輩たちと一緒に表彰台に立てた。一生忘れない日になった」と、念願のトップ3入りをかみしめた。高梨は「このままの調子で、相乗効果でいきたい」と、チームでの偉業にうれしそうに言った。世界選手権(22日開幕、スロベニア)で初の女子団体金メダルも予感させる一戦となった。

◆ジャンプ表彰台独占 男子W杯では3度。98年1月1日にガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)で行われたラージヒルで船木和喜が優勝を飾り、2位原田雅彦、3位斎藤浩哉で初めて達成。同11日のラムソー(オーストリア)のノーマルヒルで優勝原田、2位船木、3位斎藤。98年3月1日、ノルウェー・ビケルスンでのフライングヒルで岡部孝信、斎藤、葛西紀明でトップ3。なお、世界選手権では99年ラムソー大会のノーマルヒルで船木、宮平秀治、原田で独占。五輪では72年札幌五輪70メートル級の「日の丸飛行隊」が有名。