日本の悲願だった団体戦のメダルを、北京オリンピック(五輪)で獲得してから1年が経過した。銅メダルの立役者となった今季グランプリ(GP)ファイナル優勝ペアの「りくりゅう」こと三浦璃来(21)木原龍一(30)組(木下グループ)が取材に応じ、木原が「1日も早く-」と再び日本勢で喜びを分かち合える日が来ることを願った。

北京とマイナス15時間の時差があるため日こそ違うが、この日の当地は7日。北京五輪の団体戦が最終日を迎えた昨年2月7日から丸1年がたった。しかし大会期間中、ROC(ロシア・オリンピック委員会)の1位に貢献した女子のカミラ・ワリエワにドーピング検査で陽性反応が出ていたことが発覚。メダル授与式が延期されたままになっていた。

この件について質問を受けた木原は、真摯(しんし)に対応した。

団体で暫定3位のままの五輪、銀メダルの世界選手権、金メダルのGPファイナルに続き、この4大陸選手権でも表彰台に乗れば、国際スケート連盟(ISU)のシニア主要4大会のメダルを全て手にすることになる。まずは「まだ五輪のメダル、もらってないですけどね」と笑顔で話し、いまだ手元にないことに対して、こう答えた。

木原 1日も早く、メダルがもらえる日が来るといいなっていう風に思っていますし、あの五輪の団体戦のメダルは、本当に(日本代表)みんなが頑張って、みんなで勝ち取ったものだったので。1日も早くもらって、五輪に出場したメンバーでまた、お互い全員の頑張りをたたえ合えたらいいなと。そういう日が来たらいいなっていう風に思っています、日々。

実物が授与されていないことで、その後に行われた表彰などでも、支えてくれた人たちに見せてあげられていない。ここでも2人は前向きにとらえ、切り替えていた。常に意思疎通している三浦の思いも代弁する形で、再び木原が答えた。

木原 まあ、メダルがないので取ったという実感がないんですよ。記録上、あるだけなので(笑い)。だから逆にいいのかもしれないですね。僕たちにとっては、挑戦する、常に追いかけ続ける立場でいられるので。

その1カ月後、昨年3月の世界選手権(モンペリエ)で銀、同12月のGPファイナルで日本人ペア初の金メダルと、偉業を成し遂げてきたことは「りくりゅう」の愛称とともに、多くの人が知るところとなった。

木原は「自分たちが世界のトップにいるっていう思いはまだないですし、何だろう、まだまだ追いかける立場っていうのは抜けないなと。いつまでたっても自分たちは追いかける側。気持ち的には変わらないですね」と重ねて強調した。この4大陸選手権も自分たちにフォーカスすることしか考えていない。それが結果として北京から1年の成長を示すことになる。(米コロラドスプリングズ=木下淳)