フィギュアスケート男子の10年バンクーバー五輪代表で今季現役復帰した織田信成(35)が、陰口などのモラルハラスメントで精神的苦痛を受け、関大アイススケート部の監督辞任に追い込まれたとして、19年11月に当時同部コーチの浜田美栄氏(63)に1100万円の損害賠償を求めて提訴し、浜田氏も反訴した訴訟で、織田の訴えを退けて織田に220万円の賠償を命じた大阪地裁判決が17日までに確定した。

織田は22年12月の口頭弁論で監督辞任の理由を「浜田コーチからの数々の行為が原因」と主張し「狭い業界でリンクも少ない。長年指導してきたコーチが発言力がある。引退して、若くして指導するコーチが大変な思いをしている。風通しを良くして、若いコーチが育つ環境をつくりたい」と訴えていた。

一方の浜田氏は織田が自身のブログに投稿した内容や、それに伴う一部報道などで名誉を傷つけられたとし「人を陥れるのは犯罪だと思う。裁判の結論が欲しいと思って、ここに立っている。3年黙っていられたのも、周りの人、選手が助けてくれたからだと思います」と語っていた。

23年3月2日の判決では浜田氏のハラスメント行為を裏付ける客観的資料はないと判断された一方、織田の行為は名誉毀損(きそん)に当たると結論づけられた。浜田氏が名誉を傷つけられたとして織田に330万円の賠償を求めた訴訟では浜田氏の訴えを認め、織田に220万円の支払いを命じていた。