ラグビーの関東大学対抗戦は23日、東京・国立競技場で100度目となる「早慶戦」が行われる。

22日、神奈川県内の慶大の練習場には、選手、スタッフが大きな円陣を組んで、式典などで歌われる「塾歌」を熱唱する姿があった。練習場に鳴り響くのは初めての事だった。

前日練習の開始前、互いに肩を組んで心を高め合った。発案した岡広将主将(4年=桐蔭学園)が意図を説明する。

「ラグビーって、例えば野球みたいに全員でかけ声の応援があったりするわけではない。明日は国立という今までにない舞台で、今までにない量の観客の方々が入っていて、慶応が一体感を持てる場所って、1番は塾歌かなって」。

予行演習でもあり、前日から気持ちを作っていくためでもあった。やはり、それだけ特別な存在が早稲田だ。

今季の目標は大学選手権4強と、もう1つが早慶戦での勝利を掲げている。「早稲田に対する(チーム内の)思い入れは、自分が想像してるよりも部員内で強くて。4年生の中で話し合って決めました」。早慶戦の勝利は10年から長く遠ざかるが、他ライバル校では比肩できない特別さが全体の視線を定めさせた。

1月から就任した青貫浩之監督は、岡主将から2つの目標を聞いた時に、思わず喜びが広がった。「大学のキャプテン時に全く同じ目標を掲げたんですよね。ただ、それを達成できずに終わってしまったっていうのが、僕がキャプテンだったので」。選手たちはその事実は知らぬまま、予期せぬつながりがうまれた。「全力で応援してあげたい、達成させてあげたいなっていうのは思いました」。この11カ月、厳しい指導を行ってきた。

山中湖での夏合宿では、初の試みに、座学だけの1泊2日の「プレ合宿」を実施。10コマのカリキュラムの1つが「早慶戦」だった。選手たちに早稲田の分析をさせ、議論を熱く交わした。それだけ長い時間をかけて準備してきた。

伝統のタックルも復活させた。練習前、スタッフがタックル用のダミーに早稲田のジャージーを着させていた。一番早く配送されるXLのレプリカユニホームを2着発注し、仮想の敵をイメージさせる的が完成した。同監督は「久しくやってなかったんですが、今年からやろうと」と説明する。明大、帝京戦などを控えた練習でも同様の練習は行うが、実際にアカクロジャージーに選手がタックルしていくと、チームのボルテージは沸騰していった。

伝統という意味では、低いタックル、粘り強い守備で勝機を見いだすスタイルもタイガージャージーの真骨頂だが、今季はより攻撃にも目を配る。同監督は「単純に考えれば、チャンスは多ければ多いほど良い。あえて少なくする必要ない。もちろん我々の軸は変わらないんですけども、チャンスがあれば攻めていこうと、そんな話もしてます」と変化も促してきた。

現在、慶大は対抗戦で3勝2敗で暫定5位。対する早大は4勝1敗で暫定3位。定期戦の通算成績は慶大の20勝72敗7分け。何より、14年の引き分けを最後に8連敗中だが、同監督は「ある種、我々のチャンスが巡ってきたとずっと言っています。自分たちが掲げた目標が最も喜びと感動を得られるステージだなと」と前向きを強調する。

100回という節目。栄光から遠ざかる伝統校にとっては、宿命のライバルを倒すことの価値はより大きくなる。岡主将は言う。

「ベスト4という目標を見ていても、入るチームは、自分のやってる感覚としても、どこかワンランク上のこだわりというか、勝ちに対する貪欲さがあるかなと思っていて。そこが多分慶応にすごく足りていないところ。そういった面で、宿敵の早稲田、ライバル視しているチームに勝ち切ることができれば、また1つチームとしても、こだわるレベルっていうのは上がっていくんじゃないかなと思います」。

特別感があるからこそ、準備してきた意味があり、勝つことに価値がある。

「早稲田は強い。だけど勝てるかどうかを考える必要はない。勝つことだけを考えて戦いましょう!」

ジャージーの贈呈式の最後、岡主将が声を上げると、選手の雄たけびが一体となって、グラウンドにこだました。

 

◆慶大メンバー

 

<1>木村亮介(4年=慶応)

 

<2>中山大暉(3年=桐蔭学園)

 

<3>岡広将(主将、4年=桐蔭学園)

 

<4>シュモック・オライオン(4年=マウントアルバートグラマー高)

 

<5>中矢健太(3年=大阪桐蔭)

 

<6>樋口豪(4年=桐蔭学園)

 

<7>富田颯樹(4年=慶応志木)

 

<8>冨永万作(3年=仙台三)

 

<9>橋本弾介(2年=慶応)

 

<10>山田響(4年=報徳学園)

 

<11>佐々仁悟(4年=国学院久我山)

 

<12>三木海芽(4年=城東)

 

<13>永山淳(4年=国学院久我山)

 

<14>大野嵩明(4年=慶応)

 

<15>今野椋平(2年=桐蔭学園)

 

<16>酒井貴弘(4年=慶応)

 

<17>井上皓介(4年=慶応)

 

<18>吉村隆志(3年=本郷)

 

<19>浅井勇暉(3年=仙台)

 

<20>田沼英哲(3年=国学院久我山)

 

<21>小城大和(3年=北嶺)

 

<22>山本大悟(2年=常翔学園)

 

<23>伊吹央(2年=慶応)

 

 

◆早大メンバー

 

<1>山口湧太郎(2年=桐蔭学園)

 

<2>佐藤健次(3年=桐蔭学園)

 

<3>川崎太雅(4年=東福岡)

 

<4>栗田文介(2年=千種)

 

<5>池本大喜(4年=早実)

 

<6>安恒直人(3年=福岡)

 

<7>永嶋仁(4年=東福岡)

 

<8>松沼寛治(1年=東海大大阪仰星)

 

<9>島本陽太(4年=桐蔭学園)

 

<10>久富連太郎(4年=石見智翠館)

 

<11>矢崎由高(1年=桐蔭学園)

 

<12>野中健吾(2年=東海大大阪仰星)

 

<13>岡崎颯馬(4年=長崎北陽台)

 

<14>守屋大誠(3年=早実)

 

<15>伊藤大祐(主将、4年=桐蔭学園)

 

<16>清水健伸(1年=国学院久我山)

 

<17>杉本安伊朗(1年=国学院久我山)

 

<18>亀山昇太郎(3年=茗渓学園)

 

<19>細川大斗(4年=早実)

 

<20>中島潤一郎(2年=桐蔭学園)

 

<21>清水翔大(3年=早実)

 

<22>吉岡麟太朗(3年=本郷)

 

<23>福島秀法(2年=修猷館)