スピードスケートで夏冬通じて日本女子最多の五輪10個のメダルを獲得し、3月の世界選手権で現役を引退した高木美帆さん(31=TOKIOインカラミ)が14日、東京都内で老舗化粧品メーカー主催の授賞式に参加した。イベント後には取材にも応じ、現在の暮らしや今後の活動などについても語った。
4月の引退会見から1カ月以上が経過。私生活ではアスリート時代に使っていた荷物を整理し、新しい家具やベッドの購入を検討するなど「部屋作り」に夢中であることを明かした。最近の心境の変化についても語った。
「少しずつその新しい自分の人生を歩み始めているなという感覚はありますね。今までは(競技を)やめたこと、引退したことに対しての実感はそこまで湧いていなかったり、先の自分の将来についてのことを考えた時に、道が決まっているわけではなかったので。急にすごく心配になったり、不安に思ったりというのもあったんですけど、それも少しずつ落ち着いてきて、『こういうこともしてみたい』自分を見られるようになってきたなと感じています」
明確な活動拠点は決まっていないが、現在は東京と北海道幕別町の「2拠点」を中心に仕事やプライベートの時間を楽しんでいる。
「今は2拠点みたいな感じで動いてはいるんですけど、地元に戻った時にホッと力を抜くことができるのは、新しい気づきでもありましたね。今までは地元にいることも多かったので、逆に東京に来る時は仕事モード、やる気に満ちた感じで。そういう発見や今まで感じていなかったような発見があったりします」。
18年平昌五輪女子2冠を達成した姉菜那さん(33)とは会う機会に恵まれていないというが、両親との時間も大切にしている。
4月の引退会見では指導者への転身や大学院進学などの可能性を聞かれた高木さん。この日も「自分の知識の幅を広げたい」と話していた。
「引退会見の時にもお話した内容はそのままずっと変わらずあって、あれは自分の中のベースとしてあるもの。そこから広がっていくことはある。自分の体のことだったり、思考や脳のことだったり。あとは人の健康に関しても興味があったりもする」
興味ある分野がどこにあって学べるのか。そして極められるのかはまだ模索しているところだという。
「私の今の感覚としては先入観などいろんなものが凝り固まっている。この1カ月で感じていた部分があったので、いろんなところに行って、いろんな人に会って、まずは自分の固定概念を崩すところから始めたい。その上で、もし大学院に行く必要があるなと思ったら、そういう道に進みたいなと思います。すぐには決めないで、まずはどういう道が自分に合っているのかを探索していきたい」。
高木さんが今、会いたい人について聞くと、こんな答えが返ってきた。
「すごく幅広くなっちゃうんですけど。異業種の人たち。アスリートとか表舞台に立つ人だけではないところで活躍している人たちだったり、それを支えている人たちともお会いする機会をつくって人脈を広げていけたらなと。今まで会ったことがないような人たちに会ってみたい。そこで生まれる新しい発見だったり、自分の知らない世界を知ることにもなるかなっていう風に思っている」。
時計の針に身を任せるように、ゆっくりと第二の人生を歩み始めている。


